STMicroelectronicsは、リチウムイオン電池およびリチウムポリマー電池の性能・寿命・安全性を向上させる充電制御IC「L9961」を発表した。

同製品は、コードレスの電動工具、バックアップ用蓄電システム、無停電電源装置、ポータブル/セミポータブル機器、医療機器などで利用される25Vまでのバッテリ・パックに対応し、バッテリの監視・バランス調整・保護を行うためのさまざまな機能が搭載されている。例えば、バッテリ・パックのセーフティ・リレーを制御するデュアル・プリドライバは、ハイサイド接続およびローサイド接続の設定が可能なほか、設定データ用に不揮発性メモリが内蔵されているため、起動時に毎回マイコンから同製品を再設定する必要もないという。

また、I2Cインタフェースにより、設定とホストとの通信を処理し、バッテリのSOC(State Of Charge)およびSOH(State Of Health)を提供するとしているほか、内蔵されている高分解能ADコンバータ(ADC)と電流検出アンプは、±15mVの精度でセル電圧を測定し、0.25%以内の精度でバッテリ電流を検出することが可能だとしている。

高精度測定が可能なため、高精度のパッシブ・セル・バランシングとクーロン・カウントが可能で、過電圧/低電圧検知、バランス電圧低下保護、過電流検知、放電中の短絡保護などの安全機能をサポートするほか、外部サーミスタとの接続により、バッテリーパックの温度をモニタリングし、高温/低温の検知とパック・ヒューズの制御を行うことも可能で、ホット・プラグにも対応するとしている。

さらに、消費電流が最小2μAのディープ・スリープ・モードと最小5μAのスタンバイ・モードの2つの省電力モードを備えているとともに、内蔵の電圧レギュレータを作動させることで迅速に動作を再開させることができるという。

なお、同製品はすでに量産出荷を開始しており、32リードのVFQFPNパッケージ(5mm×5mm×1mm)で提供され、1000個購入時の単価は約1.19ドルとしている。

  • 充電制御IC「L9961」のパッケージイメージ

    充電制御IC「L9961」のパッケージイメージ