STMicroelectronicsは、自動車部品メーカーの独ZFと2025年以降、複数年にわたる車載用SiCパワーデバイスの供給契約を締結したことを発表した。

具体的には、ZFが2025年より量産開始予定のモジュール式インバータプラットフォームにSTの第3世代SiC MOSFETが提供され、その数は数千万個の規模となる予定だという。

STのSiCパワー半導体はイタリアならびにシンガポールの前工程工場で製造され、モロッコならびに中国の後工程工場で自社パッケージのSTPAKに実装され、提供される。

ZFのモジュール式インバータプラットフォームは、インバータの設計を変更することなく顧客の性能要件を満たすことができるもので、2025年より量産開始予定の製品については主に欧州の自動車メーカー向けのものになる見込みだという。

STに先行して米Wolfspeed(旧Cree)は、ZFと共同で独西部のザールランド州に30億ドルを投じて200mm SiCウェハ対応車載用パワーデバイス工場および研究開発施設の建設を2023年2月に発表している。今回、ZFがSTとも契約を締結したことについて、ZFの車載電装部品担当役員のStephan von Schuckmann氏は、「この戦略的に重要なステップにより、サプライチェーンが強化され、顧客である自動車メーカーに安全に供給できるようになる。ZFの2030年までのエレクトロモビリティの受注額は、現在300億ユーロを超えており、信頼できるSiCパワーデバイスサプライヤがいくつも必要となっている。STは、ZFが求める複雑なシステムに関する経験を有しており、かつ高品質で必要な数量のパワーデバイスを供給可能なサプライヤであると認識している」と、パワーデバイスの複数サプライヤからの購入の必要性を説明している。

なお、STの車載およびディスクリート半導体グループのプレジデントであるMarco Monti氏は「電気自動車の成功の鍵は、スケーラビリティとモジュール性を高め、効率、ピーク電力、手頃な価格を向上させることである。STのSiC技術は、これらの利点を提供するのに役立ち、電動化の主要な自動車サプライヤであるZFと協力して、インバータの性能を差別化および最適化するのに役立つことができる」と述べている。

  • STのSTPAKパッケージに収納されたSiC MOSFET

    ZFのEVインバータに搭載される予定のSTのSTPAKパッケージに収納されたSiC MOSFET (出所:STMicroelectronics/ZF)