Rapidusとベルギーimecは4月4日、先端半導体研究の領域での協力関係強化を目指し、Rapidusがimecの半導体微細化のコアパートナープログラムに参加する契約を結んだと発表した。

両社は2022年12月に協力覚書(MOC)を締結。Rapidusのimecパートナ―プログラムへの参加に向けた協議を行ってきた。今回の合意は、ベルギー・フランダース政府と日本の経済産業省(経産省)から支持されており、両国の半導体業界における連携を一段と強化するものだという。

  • imec本社で行われたRapidusとimecの調印式の様子

    imec本社で行われたRapidusとimecの調印式の様子。右がRapidusの小池敦義社長、左がimecのLuc Van den hove社長 (出所:imec)

西村経産大臣は「Rapidusが最先端の知識・経験を有する海外研究機関との連携が具体化したことを歓迎したい。次世代半導体プロジェクトの進ちょくをしっかりと注視しながら必要な支援を最大限行っていきたい。チャンスがあれば(imecを)視察したいと思っている」と、国策企業としてのRapidusの成功に向けた意気込みを語っている。

Rapidusは、imecとのパートナーシップを通じて先端半導体開発に向けた人材育成に取り組むと共に、地球環境に配慮した、持続可能かつ高エネルギー効率の半導体製造技術の研究、開発を進めていくとしているが、Rapidusにとっては、imecとASMLが長年にわたり共同開発してきたEUV露光技術の習得が主目的とみられる。Rapidusは、すでにIBMとライセンス取得および2nmロジック生産のための技術開発の契約を締結している。

Rapidus代表取締役社長の小池淳義氏は「imecのコアパートナープログラムに参加することは、当社にとって重要な節目となる。これにより、Rapidusはimecの先端技術やシステムソリューション、最先端の300mmパイロットライン、そして広範なパートナーネットワークを利用することができるようになる。2nmの量産技術を確立するという当社の目標を達成するには、国際的な連携が不可欠であり、imecはこの目標を実現していく上で大変重要なパートナーである。今回の合意は、半導体産業における日本の地位を再建する我々の努力が決定的な段階に達したことを示している」と述べている。

一方、imec最高経営責任者(CEO)兼社長のLuc Van den hove氏は「Rapidusは、日本が世界の半導体エコシステムにおいて主導的な地位を取り戻すための礎となる企業である。本日、Rapidusがimecのコアパートナープログラムのメンバーになったことを発表できて大変嬉しく思う。このパートナーシップを通じて我々は、Rapidusが最先端の2nmチップの量産技術を確立する上で必要となる研究開発を支援する」と述べている。

なお、2005年に立ち上げられたimecのコアパートナープログラムは、5nm以下のプロセス技術における世界トップクラスのファウンドリ、IDM、ファブレス、材料および装置サプライヤなどが参加、緊密な研究開発を行っている。同プログラムは、量産対応のEUV露光装置などを含むimecの300mmクリーンルームに構築されており、imecのパートナーたちが最先端技術に関する研究を推進している。具体的なメンバーとして世界の主要半導体メーカーの多くが名を連ねるが、ロジック微細化研究でimecとライバル関係にあるIBMは参画しておらず、ポスト2nm微細化プロセス開発で競合関係にある。