AMDはバルセロナで2月27日より開催される「MWC 2023」に合わせ、同社のZynq Ultrascale+ RFSoC DFEファミリーの第4世代に2製品を追加する事を発表した。
Zynq RFSoC DFEファミリーは元々2018年から提供をされており、2020年10月に第4世代が発表されている。この第4世代は5G Networkに最適化された製品構成であり、今回発表の2製品もこれに準ずるものである。具体的な製品の話をする前に、まずは同社の5G Network Solutionの現時点でのまとめをちょっとしておきたいと思う。
元々同社の5G Network向けSolutionそのものはXilinxが抱えていたものであって、AMDそのものはこれといったSolutionを持たず、単に「性能の高いx86 Server Processorを提供できます」以上の状態では無かった。ところがこれがXilinxの買収によって様相が変わることになった。もちろん、まだIntelのTelco Solutionの様に、EPYCに最適化されたRANソフトウェアを提供するというレベルには達していないものの、FPGAと組み合わせる形で5Gに向けたSolutionを提供できるレベルにはなっている。
元々Xilinxにしても、FPGA「だけ」ですべてを解決するのはあまりに効率が悪いので、それこそXeonとVirtexなりZynqなりを組み合わせる形のSolutionを提供していた訳で、そのXeonをEPYCに置き換えるのはそう難しい話ではない。かくして、AMDは一夜にして(というのは大げさにしても)5G SolutionをEPYC込みで提供できるようになった訳だ(Photo02)。
恐らくであるが、今はAMD社内でそれこそvRAN Solution向けのSoftware開発が大車輪で行われているのではないかと思う。もちろんスクラッチから開発していたら時間が掛かりすぎるので、パートナーとの共同作業を進めている形だと思う。すでに同社のTelecom Partnerはかなりの数がある訳で、これを急ぐと共にTelco向けのHardware Solutionを頑張って開発中という訳だ。同社は今年通信業界向けに「Siena」というZen4ベースのカスタムEPYCを投入予定であり(Photo04)、これが発表される時にはもう少しSoftware Solutionに関しても情報が出て来そうである。
ということで話をZynq Ultrascale+ RFSoC DEFファミリーに戻す。今回発表されたのは「ZU63DR」および「ZU64DR」の2製品である(Photo05)。
昨年発表された「ZU65DR」および「ZU67DR」はどちらかと言えばハイエンド向けの製品であり、5G Networkの導入時期には丁度手頃な製品であったが、すでに5Gも普及時期に入っており、むしろ普及帯向けの製品が求められるようになる。今回発表のZU63DRとZU64DRは性能を抑えてその分低価格に振った製品である。Photo06が製品の詳細で、既存の2製品がMacro Cellとかミリ波向けSolutionだったのに対し、今回の2製品はSmall Cellなどに向けた製品となる。
余談だがMWCにおいてはハードウェアショーケースを展示する(Photo07)。
またVIAVI Solutionsと共同でTelco Solutions Labを開設する事を明らかにしている(Photo08)。
これはAMDのServer向けのVertical Solutionの最初のものになる訳で、これがうまく行くようならさらに医療とか産業機器、車載など従来Xilinxが得意としていた分野にさらに横展開を行ってゆくであろうと容易に想像がつく。それだけに力を入れているのは間違いない。その意味では2023年はAMDにとってもなかなか重要な時期ということになるだろう。