詳細な観測の結果、高い励起キャリア濃度であっても、比較的長いキャリア寿命を示すことが確認されたほか、得られた結果から、キャリア寿命を決定する因子である「オージェ再結合係数」が見積もられ、キャリア寿命限界値の励起キャリア濃度依存性が求められたところ、5×1018cm-3以上の励起キャリア濃度では、従来考えられてきた限界値よりも長いキャリア寿命が得られることが確認されたとする。

  • バイポーラSiCパワー半導体の動作時の模式図

    (左)バイポーラSiCパワー半導体の動作時の模式図。(右)実験結果より求められた4H-SiCにおけるキャリア寿命の限界値の励起キャリア濃度依存性 (出所:名工大Webサイト)

研究チームでは、この結果について、高い励起キャリア濃度を注入する構造のバイポーラSiCパワー半導体素子にした場合、低い電気抵抗が得られることが示されたとしており、これにより超高耐圧SiCパワー半導体素子の限界性能は、従来見積もられてきたものよりも高くできると考えられ、電力システムに適用する低消費電力SiCパワー半導体素子の実現につながると説明している。

なお、今後については、超高耐圧SiCパワー半導体素子の実現に向けて、詳細な材料評価および素子作製に取り組むとしている。