東北大学は1月10日、セルロースナノファイバー(CNF)組織を制御したナノサイズのシート材に半導体特性が発現することを見出したと発表した。
同成果は、東北大 未来科学技術共同研究センターの福原幹夫リサーチフェロー、同・大学院 工学研究科 附属先端材料強度科学研究センターの橋田俊之教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。
半導体は多くのエネルギーを使用するため、高価な素材となっている。もしバイオマス素材を利用した半導体を開発できれば、カーボンニュートラルかつ再生可能で安価な素材であることから、環境負荷の低減に加え、新たな産業を創出できる可能性もあるという。
そこで期待されているのが、製紙用パルプだという。研究チームはこれまでの蓄電体機能に関する成果から、絶縁体である紙・セルロースが、CNFのような微細構造体として組織化することにより、電荷分布や電子移動を発現できることを予測していたとしており、今回の研究にて、各種CNFの電荷分布や電子移動を電圧制御により検討することにしたという。
具体的には、西アフリカ原産の1年草であるケナフから作成された「アモルファス ケナフ セルロースナノファイバー」(AKCF)を作製し、AKCFを利用した繊維径10~30nmのシートにアルミニウム電極を密着させてデバイスを作製したという。同デバイスのI-V特性、AC(交流)インピーダンス、周波数解析、蓄電性の測定が行われたところ、電圧制御による電圧誘起半導体的特性が出現したとする。