Applied Materials(AMAT)は、米国でのイノベーションインフラならびにグローバルな生産能力の拡充に向け、2030年に向けて数十億ドル規模の投資を行う意向を発表した。

次世代半導体R&Dセンターを設立

今回の投資の中核となるのは米国カリフォルニア州サニーベールに建設予定の次世代半導体研究開発(R&D)センターだという。この施設は、材料工学、半導体基礎技術、プロセス装置などの先進研究を専門に行うイノベーションプラットフォームであり、さまざまな半導体メーカーとの協働の中心となるほか、大学とのパートナーシップ強化や、近い将来設立される米国立半導体技術センター(National Semiconductor Technology Center:NSTC)との連携も計画されている。

AMATとしては、米CHIPS法の規定に基づく米国連邦政府からの補助金やカリフォルニア州の競争助成金(California Competes Grant)を受けることを想定しており、今回の投資を記念するイベントを2023年初頭にシリコンバレーで行う予定としており、今回の投資規模はそうした助成金次第で変動するとしている。

また、米国での生産能力の拡充に加えて新たなインフラ投資として、米国での重要な未来技術を担う人材を育成することも目指すとしている。生産能力強化としては、生産拠点であるテキサス州オースチン工場の拡張が予定されている。

同社CEOのGary Dickerson氏は、「AMATは重要な中核機能を米国内に有しており、カリフォルニア州(シリコンバレー )とニューヨーク州(アルバニー)には研究センター、テキサス州に量産工場、マサチューセッツ州とモンタナ州には製品事業拠点を置いている。他の半導体装置メーカーで米国内にこれほどの規模で拠点を構えているところは他にはない。当社は大胆な投資を通じてこの世界クラスのインフラをさらに拡充し、テクノロジーリーダーシップをより強化するともに、今後数十年にわたって顧客の成長を支えていく」と米国内への投資を強調している。

シンガポール工場も拡張へ

このほか同社は、今後8年間にわたってシンガポールでの事業拡大に向けた多面的な計画「シンガポール 2030」も発表している。同計画は、同社のグローバルな製造および研究開発能力を強化し、シンガポールでの技術エコシステムのパートナーシップを拡大することを目的としている。

すでに同社は、米国外最大の装置製造拠点であるシンガポール工場の拡張に向けた起工式を12月22日に行っている。投資額は数億ドル規模で、今後数年間で増大する顧客需要に対応するだけの能力が強化されるという。

加えて、シンガポールでの研究開発能力強化に向けた投資も実施し、チップの電力、性能、面積、コスト、市場投入までの時間(PPACt)を改善する新技術とサービスの商用化を加速することをめざsとしている。一例として、同社とシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)の研究機関であるマイクロエレクトロニクス研究所(IME)とで、ハイブリッドボンディングや新たな3Dチップ集積技術に焦点を当てるという。

Dickerson氏は「過去30年間、シンガポールは戦略的ハブであり、半導体産業が1兆ドル市場になる道に向けた能力強化を目指すこの投資によって、さらなる発展が期待される。シンガポール政府および活気に満ちたテクノロジーエコシステムと協力して、世界の半導体産業に利益をもたらす相互成長の機会を創出できることを楽しみにしている」と述べている。