STMicroelectronicsは、電気自動車(EV)の性能と航続距離を向上させる高出力SiCパワーモジュールを発表したのと同時に、韓国のHyundai MotorがE-GMP EVプラットフォームに採用したことも発表した。
STの新たな5つのSiC-MOSFETベースパワーモジュールは、自動車メーカーに柔軟な選択肢を提供し、EVで一般的に使用される定格電力と動作電圧をカバー。トラクション・アプリケーション向けに最適化されたACEPACK DRIVEパッケージに収納されたパワー・モジュールは、焼結技術により高信頼性かつ高堅牢性を実現しており、自動車メーカーはEVの駆動システムに簡単に搭載できるという。内部的には、主要なパワー半導体は同社の第3世代(Gen3)STPOWER SiC MOSFETを採用しており、高い性能指数(RDS(ON)×ダイ面積)と、低いスイッチングエネルギーおよび同期整流における優れた性能を兼ね備えているとする。
5種類のパワーモジュールのうち、1200V ADP280120W3、ADP360120W3、ADP480120W3(-L)は、すでにフル生産されているほか、750V ACEPACK DRIVE ADP46075W3およびADP61075W3は2023年3月までにフル生産となる予定。これらは、トラクションインバーター向けのプラグアンドプレイソリューションを可能にし、直接液体冷却と互換性があり、効率的な熱放散のためのピンフィンアレイを備えている。また、175℃の最大ジャンクション温度まで仕様が規定されており、長持ちする信頼性の高い圧入接続と基板に焼結されたダイを提供し、自動車アプリケーションの寿命延長を可能にするという。
なお、STでは、製品ポートフォリオの拡張として、IGBTおよびダイオードベースのACEPACK DRIVEバージョンを提供する予定ともしている。