JSRが2021年10月に買収して100%子会社とした米国のEUVリソグラフィ用金属酸化物フォトレジストメーカーのInpriaは10月14日(米国時間)、ドライレジスト技術を開発したLam ResearchがInpriaの特許取得済み金属酸化物フォトレジスト技術を無断で使用したとして、米国デラウェア州連邦地方裁判所に特許侵害訴訟を提起したと発表した。

訴状では、3つの特許を主張し、損害賠償と侵害しているドライレジスト技術の製造、販売、使用、または流通をLam Researchが禁止する差し止め命令を求めている。

従来フォトレジストは、レジスト液をウェハ上にスピンコートする、いわばウェットプロセスだったのに対して、ドライレジスト技術は、フォトレジストの薄膜をウェハ上に成膜するのでドライレジストの使用量もレジスト液と比較して、1/5~1/10に減らすことができ生産性が上がるとして注目されている技術である。

Inpria CEOであるAndrew Grenville氏は「当社は新しい材料と技術の開発に多額の投資を行っており、今回の件で当社の特許権が維持されると確信している」と述べている。Lam Researchは、18日現在、本件に関してコメントしていない。

JSRとInpriaは、SK hynixとEUV用金属酸化物レジストをSK hynixの最先端DRAMチップ製造ラインに導入する検討が進んでいると2022年8月に発表していた。Inpriaの金属酸化物レジストは、半導体製造ですでに実績のあるプロセスや装置構成と互換性が高く、広く実績のあるスピンコーティングプロセスで塗布することが可能としている。一方、Lam Reserchも、2022年6月にSK hynixと先端DRAM製造におけるLamのドライレジスト製造技術を採用にむけてプロセス開発で協業したことを発表していた。