テラスカイは10月5日、約3年ぶりとなるリアルイベント「TerraSkyDay 2022」を都内で開催した。同イベントはキーノートやスペシャルセッションに加え、クラウドを積極的に導入してDXを実現する企業事例、同社のパートナー企業が提供するSaaS(Software as a Service)製品など、約20のセッションが行われた。本稿では同社のプロダクトにフォーカスした「TerraSky Product Vision for 2030」と題した講演をレポートする。
Salesforce Platformを基盤としたテラスカイのプロダクト
はじめに、テラスカイ 専務執行役員 製品事業ユニット長の山田誠氏は「今回のテーマは“New Normal”です。新型コロナウイルスは、ニューノーマル時代の働き方を考える機会となり、テクノロジーの進化がコミュニケーションの進化につながる。働く空間はさまざまな場所となり、オフィスワーカーの日常が変化したほか、ワーケーションなどが拡大したことで東京一極集中の勤務も変化しました。また、働き方は一層多様化することから、100%以前の状態に戻ることはありません」と断言した。
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テラスカイ 専務執行役員 製品事業ユニット長の山田誠氏
そのような状況下において、業務の評価や従業員同士の距離感・空気感、労務管理が課題となっているものの、不確実性の高い時代において、変化をとらえてテクノロジーの力で自らを変化させていくことが重要だと山田氏は話す。
同社では、Salesforce Platform上にSalesforceと連携するグループウェア「mitoco(ミトコ)」、Salesforceno画面をノーコードでカスタママイズできる画面開発のクラウドサービス「SkyVisualEditor」、クラウド上で契約締結が可能な「クラウドサイン for Salesforce」、クラウド連携の「DataSpider Cloud」などを提供している。
講演では特にmitoco、SkyVisualEditor、クラウドサイン for Salesforceについて重点的に説明した。
mitoco
まずはmitocoから。同グループウェアは掲示板やトーク、ToDo、ワークフロー、カレンダーなどの基本機能を備えている。
8月にmitocoを拡張するためのサービススイート「mitoco Work」に「mitoco Work 勤怠」を追加。また、2023年2月には昨年提供を開始した「mitoco work 経費」で電帳法対応オプションのリリースを予定している。
また、8月にパーソナルアシスタントの「mitoco アシスタント」のAIエンジンをテラスカイのグループ会社であるエノキのAIエンジン「ENOKI」に刷新し、提供を開始。社内におけるバックオフィス関連の質問にSalesforce上のBotに24時間365日いつでも問い合わせを可能としている。
山田氏は「mitocoはニューノーマル時代を乗り越える新しいコミュニケーションプラットドームだと自負しています」と力を込めていた。
SkyVisualEditor
SkyVisualEditorはSalesforceの標準画面を直感的でわかりやすくノーコードで作成でき、フィールドサービス業務でも活用されている。
導入事例として、化学メーカーのトクヤマでは20年以上にわたりNotesを利用し、営業関係のワークフローやシステムなど多数のデータベースが存在しており、Notesを撤廃したかったものの移行先が見つからないという課題があった。
そこで、SkyVisualEditorを導入して見積書などの帳票をすべてSalesforce上で出力可能とし、mitocoのワークフローと組み合わせて社内の捺印勝因もすべて電子化したことでペーパーレス化を実現している。
今年5月にはSalesforceの画面上でSlackのチャンネル表示などが可能なコンポーネントの提供を開始しており、SalesforceのSlack拡大戦略に即追随しているという。
クラウドサイン for Salesforce
クラウドサイン for Salesforceは、弁護士ドットコムが提供するクラウドサインとSalesforceをつなぎ、顧客ごとの契約書管理や手続きの進捗管理ができるサービスだ。
Salesforceからワンストップで契約書類の送付ができ、締結状況を一覧で把握することを可能とし、契約交渉済みの契約書をアップロードすれば、相手方が承認するだけで契約締結ができる。
契約書の印刷・封入・郵送の必要がないため出社が必要な事務作業を不要とし、印紙代・郵送代も不要となるため印紙コストの削減できる。また、契約にかかわるすべてのプロセスがクラウドで完結し、書類回収スピードの向上が図れる。
山田氏は「クラウドサインは契約書のすべてをクラウドで行うため、コロナ禍において会社に出勤しなくてもいいため、非常に売れています。クラウドサイン for Salesforceは、受信側はクラウドサインの契約をしなくても使えることから、コスト削減と回収スピードを速められます」と強調していた。
プロダクトへの注力が鮮明となったテラスカイに今後も期待
テラスカイと言えば、セールスフォースのインテグレーターというイメージが業界では強いのではないだろうか。
筆者もまさしく、そのイメージを持っており、売上比率から見ても8割程度がセールスフォースをはじめとしたクラウドインテグレーションがコア事業となっている。ただ、今回の講演では従来以上に自社のプロダクトに一層注力していくことが伺えた。
講演後に山田氏に話を伺う機会があったので、今後の製品戦略について尋ねたところ「直近1年間はmitocoを充実させていきます。mitocoのプロダクトを見直しつつ、アプリケーションを拡充し、まずは電帳法や勤怠を強化して、Botも音声利用ができるようにしていきたいと考えています」と述べており、今後も同社のプロダクトに期待したいところだ。