Wolfspeed(旧Cree。2021年10月より社名を変更)は、米国ノースカロライナ州Chatham郡に数十億ドルをかけて、完全自動化200mm SiCウェハ製造工場を建設すると発表した。

この新工場で生産された200mm SiCウェハは、2022年4月より稼働を開始したニューヨーク州のMohawk Valley工場に送られ、パワーデバイスおよびモジュール製造に使われるという。SiCウェハの大口径化により、ウェハ1枚あたりのチップ取れ数を増やせるため、製造コストが削減でき、かつ生産数の増大で差異化を図れると同社では説明している。

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    Wolfspeedが建設予定の完全自動化200mm SiCウェハ量産工場完成予想図(米ノースカロライナ州Chatham) (出所:Wolfspeed)

SiCウェハの生産能力を10倍に

新工場の建設は複数フェーズに分けられ、第1フェーズは13億ドルを投じて2024年に竣工する予定。その後、2024年から2030年の間に、必要に応じて生産能力を追加し、最終的には445エーカーの敷地に100万平方フィート以上の建屋面積の工場となり、最終的には1800人の直接雇用を創出するという。

同社では、新工場のSiCウェハ生産能力を現状のノースカロライナ州の研究学園都市Research Triangle Parkにある本社工場の生産能力と比べ10倍以上に増やすことを目標にしており、長期的な成長戦略に基づき、幅広い市場に向けたSiCパワー半導体の採用を加速させ、エネルギー高効率時代を切り開くとしている。

同社によると、ノースカロライナ州商務省からの雇用開発投資助成金を含む州および地方の補助金が支給されるほか、半導体企業に補助金を支給するCHIPS法(CHIPS and Science Act of 2022)基づき、連邦政府の資金を申請する予定だという。

地元大学とも提携し半導体人材を育成

同社の人材開発戦略は、ノースカロライナA&T(農業技術)州立大学とのパートナーシップにより半導体人材育成を行ってきており、同大より継続的に人材の供給を受けているという。2020年に同社は、5年間で総額400万ドルを同大に寄付したが、これは当時、同大の歴史で最大級の寄付金額であり、これによりWolfspeed Endowed Scholars Programが発足。両者は、包括的な教育とトレーニングのカリキュラム、および最先端の研究と革新的な人材育成プログラムを確立することを目指しており、このパートナーシップにより、SiC半導体の製造に関する学部および大学院生の学位取得の機会、ならびに既存半導体製造労働者に対する半導体トレーニングおよびキャリアアッププログラム参加の機会が得られるという。

なお、同大のHarold L. Martin, Sr.学長は「歴史的に米国内最大の黒人大学である当校は、Wolfspeedとのパートナーシップの拡大により、グリーン経済を目指してともに世界を変えることに貢献したい」と述べているほか、Wolfspeedの社長兼CEOであるGregg Lowe氏は「私たちは、本拠地であるノースカロライナ州でWolfspeedの足跡を拡大するだけでなく、同大との関係をさらに深め、最高の人材を育成することを誇りにしている」と述べている。

2022年9月29日訂正:記事初出時、Mohawk Valley工場の所在地をノースカロライナ州と記載しておりましたが、正しくはニューヨーク州となりますので、当該部分を訂正させていただきました。ご迷惑をお掛けした読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。