半導体市場動向調査会社である米IC Insightsによると、オプトエレクトロニクスの最大の製品カテゴリであるCMOSイメージセンサ(CIS)の2022年市場は、スマートフォン(スマホ)の不振や世界経済の低迷により、前年比7%減の186億ドル、出荷台数も同11%減の61億台と、13年ぶりのマイナス成長が予測されるという。
CMOSイメージセンサ市場は、過去20年のほとんどの期間にわたって成長を続けてきており、現在はオプトエレクトロニクス市場の40%以上を占める規模にまで拡大している。2022年がマイナス成長になる大きな要因としては、新型コロナによる在宅勤務・リモート授業などの増加に伴うオンライン会議ニーズの一巡に伴うスマホとPC市場の低迷で、IC Insightsでは2023年には緩やかな回復に転じ、同4%増の193億ドルに、2024年も同13%増の217億ドルとなり、過去最高を更新すると予測している。
CMOSイメージセンサ市場をけん引してきたのはスマホで、一部のハイエンドスマホでは5個以上のカメラが、ミッドレンジのスマホなどでも3個ほど搭載されている。しかし、中国で主流のミッドレンジスマホの出荷が減速しており、組み込まれるカメラの販売数も鈍化している。
CMOSイメージセンサ市場のトップはソニーで、2021年のシェアは約43%であった。しかし、同社の2023年度第1四半期(4~6月)におけるCMOSイメージセンサの売上高をドルベースで見ると前四半期比で12.4%減(日本円で同2%減の2186億円)となっている。また、ソニーではCMOSイメージセンサの過剰在庫の解消には2023年初頭までかかるとの見通しを示しているほか、市場環境の正常化は2023年度下期まで待つ必要があるとしている。
なお、IC Insightsによると、CMOSイメージセンサを適用アプリ別に見ると、スマホが約3分の2を占めるというが、そのシェアは2026年にかけて約45%にまで低下すると予想されるという。これからのCMOSイメージセンサ市場の成長は、スマホの買い替えサイクルに加え、インテリジェントセキュリティネットワーク向けシステムに対応する組み込みカメラが存在感を増すと見られるとのことで、CMOSイメージセンサ市場は、2021年から2026年までの年平均成長率(CAGR)6%で増加し、2026年には269億ドルに達すると予測しているほか、出荷個数もCAGR6.9%で伸び、2026年には96億個に達すると予測している。