半導体市場動向調査会社である仏Yole Groupが発行したCMOSイメージセンサ(CIS)市場調査2022年版によると、「2021年のCIS市場は前年比2.8%増の213億ドルと、この10年間でもっとも低い成長率となった」という。ただし、2021年第4四半期がCIS生産生産にとって過去最高を記録しており、新たな成長サイクルが始まったともしている。背景には、主要な中国企業の米国からの制裁を警戒した在庫の積み増しがあったためで、2022年現在の市場は安定化しているという。

同社によると、2021年から2027年にかけての年平均成長率(CAGR)は6.7%と見ており、2027年には314億ドルに達すると予測している。最大の応用分野は、2021年も2027年もモバイル分野で、そのCAGRは6.4%としている。2番目の市場はセキュリティで、CAGR10.8%で2027年には36億ドル、3番目は自動車向けで年間成長率11.2%で2027年に32億ドルとしている。また、CAGRがもっとも高いのは医療向けの19.2%だが、絶対額は2027年で4億ドルと小さな市場となっている。これら以外にも産業用、コンピューテイング用、コンシューマ用、防衛・航空用といった市場があるが、2027年のそれぞれの市場規模はいずれも20億ドル以下と予想されている。

  • 2021年および2027年のCIS市場規模と応用分野別売上高内訳

    2021年および2027年のCIS市場規模と応用分野別売上高内訳 (出所:Yole Group)

ソニーのシェアが39%に低下

2021年のCISサプライヤ別シェアトップはソニー(正確にはソニーの子会社であるソニーセミコンダクタソリューションズ)でシェア率は39%。かつてはシェア50%を超えていた同社だが大きく落とす結果となった。背景には、新型コロナによる経済的な影響や米国政府によるHuaweiへの制裁措置などがある。しかし同社は2022年6月に、2025年までにシェア60%を目指すとする目標を発表。この取り組みを踏まえ、今後数年間で生産能力と研究開発費を強化するはずだとYole Groupは見ている。

シェア2位は、Samsung Electronicsで22%、3位は中Will Semiconductorの子会社OmniVisionで13%、4位はSTMicroelectronicsで6%、5位は同率で中Galaxycoreとonsemiの4%、7位はSK hynixで3%、8位は中Smartsenseとなっている。日本勢ではソニー以外にキヤノン、パナソニック、浜松ホトニクスなどがいるが、いずれも1%ほどにとどまっている。ただしキヤノンは、神奈川県の平塚事業所にCISの新たな製造ラインを構築する見込みでシェアアップを狙う模様である。

また中国勢(OmniVision、GalaxyCore、SmartSens)は、いずれもファブレスであるが、米中貿易摩擦の影響を避けるべく中国のモバイル市場に注力。その結果、GalaxyCoreの売上高は10億ドルに近づくまでに成長しているという。

  • 2021年のCISサプライヤ市場シェア

    2021年のCISサプライヤ市場シェア (出所:Yole Group)

なお、CIS生産に用いられるプロセス技術としては、主に65nmや90nm、45nmとなっており、先端ロジックプロセスである28nmや22nmは一部で使用されるにとどまっている。

  • CISウェハの生産能力のプロセス技術別内訳

    CISウェハの生産能力のプロセス技術別内訳(単位:1000枚/月) (出所:Yole Group)