高電圧電力変換用ICファブレスの米Power Integrations(PI)は、金属ヒートシンク不要で最大出力電流850mAを実現する、車載用スイッチング電源用ICファミリの最高電流製品として「LinkSwitch-TN2Q」を発表した。

  • LinkSwitch-TN2Q

    「LinkSwitch-TN2Q」の適用イメージ (出所:PI Webサイト)

同製品は、30~550VDCの広範囲な入力電圧に対応しており、EVにおける機能安全として、必要な安全超低電圧(SELV)しきい値以下でもデバイスを起動ならびに動作させることができる仕掛けを有しているという。

また、AEC-Q100認証を取得しており、降圧型、極性反転型、非絶縁フライバック型のコンバータトポロジをサポートしているほか、750VパワーMOSFET、発振器、オン/オフ制御、自己バイアス用高電圧定電流回路、周波数ジッタリング機能、高速(サイクル・バイ・サイクル)電流検出およびカレントリミット、自動復帰タイプ過熱保護、出力過電圧保護回路が採用されており、これらが1チップに内蔵されている。

さらに、待機時の消費電力が小さいため、400VDC入力時の無負荷時入力50mW以下を満たす電源設計を実現できるとするほか、入出力過電圧異常、デバイスの過熱異常、レギュレーション異常、電源過負荷異常、または短絡異常などに対する保護機能を含む包括的な保護機能により、安全で信頼性の高い電源が実現できるともしている。

なお、PIのシニアプロダクトマーケティングマネージャーであるEdward Ong氏は、「EVのエレクトロニクスが洗練されるにしたがって、自動車業界はより大きな供給電流を必要とするようになっています。この新しいICの850mA定格は、同ファミリの他製品と比較して、供給可能な出力電流が230%増加したことを表しています。今後、こうした製品を活用していくことで、SMDパッケージの制御、ドライバ、保護回路、750VパワーMOSFETなどを含む部品点数が低減することができる」と述べている。