Intelは7月28日(米国時間)、2022年第2四半期の決算概要を発表した。
それによると売上高は前年同期比22%減の153億2100万ドル(約2兆220億円、1ドル132円換算)となったほか、最終損益は前年同期の50億6100万ドルの黒字から4億5400万ドルの赤字へと転落した。多くの半導体大手が2桁成長を果たし、過去最高の売上高を報告する中の異例事態とも言える。
また同社は多くの顧客が在庫調整をしており、新規発注を見合わせているため、第3四半期の業績はさらに悪化する可能性があり、売上高は150億~160億ドルとの見通しを示しているほか、通期の売上高見通しについても前年比最大13%減の650億~680億ドルと、従来予想の760億ドルから大幅に引き下げている。
事業別に見ると、クライアントコンピューティンググループ(いわゆるPC向けMPUビジネス部門)の売り上げは、前年同期比25%減の77億ドル、データセンタおよびAIグループの売り上げは同16%減の46億ドルとなった。PC市場の低迷が業績に影響を及ぼすことは事前予想のとおりであったが、ハイエンドサーバ用半導体が予想外の減収となったことが、アナリスト予想よりも業績を押し下げることとなった。半導体価格の下落に加え、顧客の注文がAMDに流れたとみる向きもある。
同社のPat Gelsinger CEOは、「業績低迷は主に景気減速に起因するが、CPUの新製品をスケジがュール通りに生産できなかったことなど当社の課題も原因である」と述べている。
ちなみに、Intel Foundry Service(IFS)の売り上げも、前年同期比54%減の1億2200万ドルと振るわなかった。
業績不振を背景に設備投資費を削減
またIntelは業績不振を理由に、2022年の売上予想を引き下げたのに併せて、設備投資額も当初の270億ドルから230億ドルに下方修正することを発表している。Intelは、これまで市場調整期においても設備投資費を大きく削減することはなかっただけに、半導体製造装置業界に動揺が広がっている。2021年の半導体製造装置市場は驚異の前年比44%増という成長率を達成したが、すでにTSMCも設備投資の一部先送りを発表しており、いよいよ調整局面入りが鮮明になってきた。
Intel CEOがCHIPS法の成立にコメント
なお、Pat Gelsinger CEOは、米国の半導体生産を強化する「CHIPS for America Act(CHIPS法)」が連邦議会で可決されたことを受け、祝意を示す声明を発表している。同声明で、CHIPS法可決に関して、「米国の半導体産業全体をサポートし、半導体製造と研究開発における米国のリーダーシップの継続を確保するための重要なステップだ」と述べている。
Intelは、2022年6月23日にオハイオ州の先端半導体工場の起工式を計画していたが、その日までにCHIPS法が成立していなかったことから、開催の延期を発表していた。今回のCHIPS法の可決で、補助金を受給できることは確実となったが、具体的な額や受給の期日などは未定のままである。Gelsinger氏は、「シャベルを(オハイオ州の)地面にうちこむことに興奮している」と言う言葉で、工場の起工式の実施が現実的になったことをコメントしている。