IntelのPat Gelsinger CEOが8月にもCEO就任後、3度目となる台湾訪問を行い、TSMCトップと面会し、3nmプロセス製品の生産計画の変更について協議するという話がでていることを米台の複数メディアが報じている。

それらによるとIntelは「タイル(Tile)」と呼ぶ各ダイをパッケージ上で統合するチップレット方式を採用した次世代CPU「Meteor Lake」を当初、2023年前半の出荷予定としていたが、それを2023年末の出荷へと延期する模様だという。タイル方式はCPU、GPUなどのダイを別々のプロセスで製造。CPU部は自社の「Intel4」(TSMCの5/4nmに相当するプロセス)で製造するが、GPU(tileGPU:tGPU)に関しては、TSMCの3nm(N3)プロセスでの製造される予定となっている。

TSMCは、8月にも新竹科学園区(竹科)、さらには南部科学園区でN3プロセスの量産を開始する予定であったが、もしIntelがMeteor Lakeの出荷を遅らせるならば、このN3生産計画も変更が求められる可能性が高く、南部科学園区では、当面5/4nmプロセスでの生産が継続されるのではないかとみられるという。

Meteor Lakeのリリース延期は、Intelが公式発表したものではなく、あくまで噂に過ぎないが、もし、Meteor Lakeの生産委託計画が何らかの理由で遅れた場合、Intelは高額の違約金をTSMCに支払う必要があるといわれている。

また、今回の訪台は生産延期ではなく別の方向性も考えられるとする向きもある。tGPUは予定どおりに製造が行われるが、それに加えて、IntelがTSMCの5nmもしくは3nmプロセスで別のタイルも製造委託するというもので、これによりIntelはしばらくの間、時間を稼ぐことが可能となり、プロセス技術開発のペースを再調整することができるようになるという。これもあくまでも噂レベルの話であり、Intel、TSMCともに正式なコメントは出していない。

なお、TSMCは7月中旬にも2022年第2四半期の業績報告会を開催する予定で、ここで下半期と今後数年間の見通しの説明がどのようになるのかが注目される。