Digitimes Asiaによると、業績を公開している中国企業(上場企業)を対象にした調査を行ったところ、半導体関連企業トップ10社の売上高合計(2022年5月1日基準で、直近の過去4四半期分の合計)の成長率は、中国の国家主義的な「中国製半導体優先購入」キャンペーンなどもあり、前年比31%増と他国の成長率を上回ったという。

中国の半導体関連企業トップはSMIC

売上高トップはSMICで、中国のハイテク企業に地元の半導体企業からの調達を優先するようにという中央政府の指示もあり成長率39%を達成。同社の売上高に占める国内割合は2021年第1四半期の55.6%から、2022年第1四半期には68.4%と増加してきており、その存在が中国国内企業にとって重要になってきている。

2位は、中国最大のOSATであるJCET。SMICの子会社が筆頭株主として12.9%の株を所有している。JCETの財務報告によると、国内売上高は海外売上高のほぼ3分の1であるにもかかわらず、国内事業の粗利益は海外事業の2倍となる28.5%だという。

3位はCMOSイメージセンサを手掛けるWill Semiconductor。同社は、2019年にOmniVisionを買収することで、多くの海外顧客を獲得。その結果、海外売上高と利益率は国内売上高の2倍となったという。4位以下は以下の通り。4位TongFu Microelectronics(OSAT)、5位Wintech Technology(IDM)、6位Tianshui Huatian Technology(OSAT)、7位Hua Hong Semiconductor(ファウンドリ)、8位はNAURA Technology Group(製造装置)、9位China Resources Microelectronics(IDM)、10位はGigadevice Semiconductor Beijing(ファブレス)。ちなみに売上高でトップ10に入るはずのHuaweiの半導体設計子会社であるHiSiliconはじめ非上場企業は業績非公開のためリストには含まれていないことに注意が必要がある。

トップ10社中WillとWintech Technologyを除く8社は中国の国家半導体投資ファンド「中国集積回路産業投資基金(愛称:大基金、Big Fund)」からの出資を仰いでおり、各社への資本金に占める国家ファンドの出資比率は、最低がNAURAの7.9%、最大がChina Resourcesの39.4%となっている。公開情報によると、中国の上場半導体企業129社は、毎年ある種の「政府助成金」を受け取っていることも明らかになっている。

政府からの支援を受けて進められている積極的なM&A

中国トップ10社の多くが、競争力向上を目的とした海外企業の買収のために政府からの資金援助を受けているという。例えばJCETは6年間で2つのシンガポールのOSAT工場を買収しているほか、TongFuは、2015年に蘇州とマレーシア・ペナンのAMD後工程工場を買収した後、AMDを顧客としてOSATサービスを提供している。Tianshuiも米国のフリップチップ会社FCIやマレーシアOSATのUNISEMを買収し、米国半導体企業の後工程を受託しているとのことで、マレー半島のOSATの多くが中国資本に買収されている模様である。