そうした中、木曽観測所ではトモエゴゼンを用いて毎晩実施しているサーベイ観測データから、地球接近小惑星の探索も行ってきた。今回は、2019年の観測開始から2022年6月までに、そのサーベイ観測データから検出した小惑星候補天体の追跡観測を行うことで、直径100m以下の微小小惑星を42個発見することに成功したとする。
これら42天体は国際天文学連合(IAU)小惑星センター(MPC)より、小惑星仮符号が与えられた。これらの小惑星の多くが、地球-月間の距離である約38万kmの3倍以内の極めて地球近傍を通過するが、従来の観測では見逃されてきた小惑星だという。またトモエゴゼンを用いた即時追跡観測も行われ、微小小惑星の高速自転を多数検出することにも成功したという。
今回の成果は、トモエゴゼンの広い視野と高速動画観測を組み合わせることにより、従来は観測が困難だった地球の極めて近くを通過する微小小惑星の発見に成功したもので、研究チームによると、トモエゴゼンが発見する小惑星は明るく、追跡観測により小惑星の自転状態や組成を推定するための良い観測対象だという。また、追跡観測により微小小惑星の物理特性を明らかにすることは、地球接近小惑星の力学史の解明につながることが期待されるとしている。