すでに先端プロセスで多くの顧客を抱えるTSMC

先端プロセスで先頭を走るTSMCは、2024年に2nmプロセスのリスク生産、2025年に大量生産を目標に研究開発を進めている。微細プロセスの半導体工場(ライン)の設置には莫大なコストを必要とする一方、そうした先端プロセス製品にかかる製造コストを払える顧客は減少傾向にあるが、同社は先端からレガシーまで500を超える顧客から1万を超す製品の生産を引き受けている実績を有するという。SamsungやIntelも先端プロセスの開発、提供を進めているが、歩留まりが低迷しているとの噂が絶えず出ており、TSMCがIntel含め、2nmプロセスを必要とする顧客群を囲い込む可能性が高いと台湾半導体業界関係者は見ているという。

調達困難なEUV露光装置

7nm以降の微細プロセスを用いたロジックの量産にはEUV露光装置が用いられているが、ASMLが独占的に製造しており、その供給量には限りがある。

TSMCは現在、世界でもっとも多くのEUV露光装置を確保しており、かつ長期供給契約も締結済みとされる一方、ASMLも台湾現地法人に3600名を超す従業員を抱え、TSMCをサポートする関係性が構築されている。SamsungやIntelなど、TSMC以外の先端プロセスで半導体製造を行う各社は争奪戦を繰り広げる状況となっており、より多くの台数確保のためSamsungの李副会長は、自らASML本社を訪問し交渉を行うなどの動きを見せている。

まだEUV露光装置を所有していない日本が、仮に今から注文しても納入まで数年待つ必要があると見られるほか、使い慣れるまでにさらに数年を要することが考えられる。さらに、2nmのような先端プロセスには1台3.5~4億ドルとも言われる高NA(NA=0.55)の次世代EUV露光装置が必要とされる。

不透明な歩留まり改善にかかる時間

微細プロセスの量産は、長い期間をかけて経験を積まない限り、歩留まりの改善は難しいという経験則から、いきなり2nmプロセスを歩留まり良く生産することは至難の業だと台湾半導体業界は見ており、一部からは2025年に2nmプロセスの生産をワンステップで達成することは幻想だと指摘する声もあるという。

なお、TSMCのMark Liu会長は、TSMCの2nmプロセスは開発段階ながら高い歩留まりを示しており、もし日米協業で2nmプロセスが提供されることになっても脅かされることはないと6月8日に開催された年次株主総会にて発言しているほか、米国と日本、または米国と韓国の協力関係はTSMCを追い越すことではないとの見方を示し、株主に対して技術的な優位性を強調し、心配することはないと伝えたとしている。