半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(STマイクロ)と、パワーエレクトロニクス製品を提供するSEMIKRON(セミクロン)は、セミクロンのEV(電気自動車)用パワーモジュール「eMPack」に、STマイクロのSiC技術の提供を行うなど、技術統合による協力を行っていることを発表した。

セミクロンはドイツに本社を構える企業で、主に中出力帯(約2kW~10MW)のパワーモジュールおよびシステムを提供している。また同社は、2025年以降、同社のeMPackパワーモジュールをドイツの大手自動車メーカーに供給する契約を10億ユーロで獲得したことを発表している。

  • eMPackパワーモジュール 製品イメージ

    eMPackパワーモジュール 製品イメージ(提供:STマイクロ)

STマイクロとセミクロンは、STのSiCパワー半導体を採用し、より小型かつ高い効率や性能をもつシステムを実現するため、4年間にわたって技術的な協力を続けてきたという。

SiC半導体は自動車業界において、EVトラクションドライブ用のパワー半導体として急速に普及しており、航続距離の延長や信頼性の向上への貢献が期待されている。

今回STマイクロとセミクロンのエンジニアが協力し、シンター接続を採用したセミクロンの「ダイレクト・プレス・ダイ(DPD)」アセンブリプロセスに、安定性と高い性能を特徴としたSTマイクロのSiC技術「STPOWER SiCパワーMOSFET」を統合したとのことだ。

DPDは、モジュールの性能と信頼性を強化し、コスト効率に優れた電力や電圧のスケーリングを可能にするという。セミクロンは、ベアダイで提供されるSTマイクロのSiCパワーMOSFETを活用し、100kW〜750kWのアプリケーションや400V〜800Vのバッテリシステムに適した、750Vおよび1200VのeMPackプラットフォームを確立したとしている。

STPOWER SiCパワーMOSFETは現在量産中で、広範な製品ポートフォリオが展開されているという。同製品は、標準的なパワーパッケージ、または高電力密度の処理が重要となる高度なモジュールに最適なベアダイとして提供されるとのことだ。