オムロンは、顔画像センシング技術「OKAO Vision」のソフトウェアライブラリに新たにマスクを着用したままでも顔認証を可能とするAI搭載の「OKAO Vision 顔認証マスク対応版 ソフトウェアライブラリ」を4月20日から提供開始すると発表した。

同社は、1995年から人を理解することを目的とした顔画像センシング技術「OKAO Vision」の技術開発に取り組んできており、同技術は、オムロンが開発するその卓球ロボット“フォルフェウス”に搭載されている表情から感情を推定する技術にも使われている。

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オムロンは、OKAO Visionのソフトウェアライブラリの機能として、これまで「顔検出」「顔認証」「笑顔度推定」「視線やまぶた、口の開閉検出」「年代・性別推定」など含めた16機能を企業向けに提供している。

これらの機能を組み合わせ、顔認証システムをはじめ、デジタルカメラやスマートフォンのオートフォーカス機能、フォトプリンターの美肌補正、ユーザー属性に合わせたデジタルサイネージの表示、コミュニケーションロボットなど、これまでに15億台以上のライセンスを幅広いアプリケーション向けに提供してきたという。

今回、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でマスク着用が日常化し、マスクを着けたままでは顔認証を活用したセキュリティ解除をスムーズに行えないという課題を解決するため、マスクを着用した状態でも対象人物の特定を可能とし、入退室などのセキュリティ管理、非接触の顔認証システムなどに活用できるソフトウェアの拡充に至ったのだという。

  • OKAO Vision 顔認証マスク対応版 ソフトウェアライブラリ

    OKAO Vision 顔認証マスク対応版 ソフトウェアライブラリの使用シーン例(提供:オムロン)

AI・ディープラーニング技術を搭載しながらも、長年培ってきた機器組み込みに特化したアルゴリズムで、大容量サーバーによる初期投資・運用コストを抑制でき、規模を問わず導入することが可能だとしている。

また、さまざまなマスクの色(白色、青色、ウレタンマスク、黒、グレーなど)を学習しており、認識が可能で、正面・近距離から撮影された顔に特化した高い認証率が特徴なことから、入退出管理システムやセキュリティドア、工場設備のログインといったアプリケーションへの適用を考えているとしている。

今回のラインアップ拡充を踏まえ同社では、OKAO Visionの顔認証ソフトウェアの国内売り上げを今後3年間で2倍にする目標を掲げている。

なお、OKAO Visionのソフトウェアライブラリの費用に関しては、使いたい機能によって金額が変わってくるという。すでにほかのOKAO Visionの機能を使っており、顔認証マスク対応版を購入したい場合には、別途契約を結ぶ必要があるとしている。