メモリ向けパッケージング市場は、2020年に131億ドル規模であったが、今後、年平均成長率(CAGR)7%で成長し、 2026年には198億ドル規模に成長するとの予測を半導体市場動向調査会社である仏Yole Développementが発表した。

このうち、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test:半導体後工程受注企業)が占める割合は、2020年で31%であったものが、2026年には35%にまで上昇するほか、そのうち6%は、中国の新興メモリメーカーであるYMTC(NAND専業)ならびにCXMT(DRAM専業)がアウトソーシングした分となるという。2020年におけるこれら中国メモリメーカーのOSATへの製造委託割合は1%ほどであり、今後、急速にその割合が高まっていく可能性があるという。

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    2020年および2026年のメモリ向けパッケージング市場規模とIDMとOSATの内訳 (出所:Yole Développement)

2020年におけるメモリ向けパッケージング市場をメモリのタイプで分けると、DRAMが63%、NANDが31%となっている。これが2026年にはDRAMが70%、NANDが25%となる見込みだという。これは、DRAMとNAND市場の2026年までのCAGRがそれぞれ15%、9%と差があり、DRAMの方が成長するためだという。その結果、2026年のDRAM市場規模は1570億ドル、NAND市場規模は920億ドルと同社は予測している。

また、パッケージングタイプ別で市場を見た場合、2020年ではもっとも高い割合だったのが個別チップのワイヤボンドで47%、フリップチップが30%, マルチチップのワイヤボンドが13%と続いている。これが2026年になると、個別チップのワイヤボンドが31%に減り、代わりにフリップチップとTSV積層が増加する見込みだという。

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    2020年および2026年のメモリ向けパッケージング市場のメモリタイプ別およびパッケージタイプ別の割合 (出所:Yole Développement)

メモリ向けパッケージング技術は、メモリと処理ユニット間(プロセッサ)のデータ転送に関係する帯域幅の制限、いわゆる「メモリウォール」が存在するが、データ集約型アプリケーションからの増大するパフォーマンスニーズに対応するためにその対策が急速に進化しており、例えばHBM(高帯域メモリ)は、 TSVと熱圧着を使用した DRAMダイの3Dスタッキングを活用することで、こうした課題を解決している。

現在、すべてのメモリメーカーがハイブリッドボンディングの研究開発を行っており、例えば新興のYMTCは、Xtacking 3D NANDテクノロジを活用し、NANDにハイブリッドボンディングを持ち込むことに成功している。ただし、ウェハ間のスタッキングアプローチを採用するためには、生産ラインの大規模な改修が必要になるため、すでに大規模な生産能力を有しているメーカーには向かないとYoleでは指摘している。そのため、既存のプレーヤー各社は、現在のスタッキングアプローチの適用が難しくなるまで、その技術が続くことが期待されるとしている。

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    リードフレームからTSVやハイブリッドボンディングに代表される先進パッケージングまでのメモリパッケージングの変遷 (出所:Yole Développement)