パーソルキャリアは12月22日、同社の転職サービス「doda(デューダ)」において、「IT職種の平均年収ランキング2021」を発表した。同ランキングは、同社のエージェントサービスに登録した約45万人のデータから、IT関連業種またはIT職種で正社員として働く20歳から65歳までの情報約45万件をピックアップして集計したものだ。

「IT/通信」業界の平均年収は2019年の446万円から、2020年は444万円、2021年は433万円と全体的に減少傾向にあることが明らかになった。

これはIT関連企業がポテンシャル採用を再開させた点に起因しているようだ。IT人材やデジタル人材の不足などを背景に、年収水準が低めのポテンシャル層や若手層の採用が活発化しているという。

一方で、「IT/通信」業界で働く「30歳代」「40歳代」「50歳代以上」の各業種の平均年収は増加傾向にある。コロナ禍において新たなシステムの導入やセキュリティ対応が不可欠となったため即戦力が求められるようになり提示年収の水準も増加した。

経験者の中でも特に「統括」「進行管理」「課題解決」ができるマネジメント人材の需要が高く、今後も提示年収は高まると考えられる。開発プロジェクト全体の責任者となる「プロジェクトマネジャー」の需要も同様に高まりそうだ。

  • 「IT/通信」業界の平均年収。昨年から11万円減少している 資料:パーソルキャリア

「IT/通信」業界に分類される「ITコンサルティング」「システムインテグレータ」「ハードウェア/ソフトウェア/パッケージベンダ」「通信/ISP/データセンター」の4業種において、「ITコンサルティング」(458万円 昨対比+3万円)と「ハードウェア/ソフトウェア/パッケージ」(451万円 昨対比+2万円)の2業種が昨年と比較して平均年収が増加したという。

反対に、「システムインテグレータ」(452万 昨対比−3万円)と「通信/ISP/データセンター」(398万 昨対比−5万円)の2業種は平均年収が減少している。

「インターネット/広告/メディア」カテゴリでは「ゲーム(オンライン/ソーシャル)」(407万円 昨対比+6万円)が好調だったようだ。コロナ禍での巣ごもり需要によって業績が好調となった企業では給与や賞与に還元されたケースもあり、年収アップの要因につながったとのことだ。

  • IT関連業種の業種別年収変動 資料:パーソルキャリア

「IT/通信」業界を年代別に見ると、20歳代は「ハードウェア/ソフトウェア/パッケージベンダ」以外の3業種で年収が減少した。一方で30歳代以上では多くの業種で平均年収が増加したようだ。最も増加額が大きかったのは「ハードウェア/ソフトウェア/パッケージベンダ」の50歳代以上だ。

  • 30歳代以上は各業種で平均年収が増加したという 資料:パーソルキャリア

2021年のIT職種全体の平均年収は438万円と2019年から2021年にかけて減少傾向にあり、昨年から14万円減少している。しかし、全職種の平均年収と比較するとIT職種の年収は約35万円高く、依然として需要が高い職種であることがうかがえる。

  • 全職種合計とIT職種の平均年収推移 資料:パーソルキャリア

IT職種の平均年収トップ20のうち、2年連続で平均年収が増額したのは第1位の「プロジェクトマネジャー」(671万円、昨対比7万円増)のみだった。第2位の「プリセールス」(630万円)は3位「ITコンサルタント」(585万円)との差額が大きく、順位の変動はないが、昨対比28万円減と大きく減少する結果になった。

  • IT職種別年収ランキングTOP20。TOP7までの順位は過去5年間変動していないとのことだ 資料:パーソルキャリア