TrendForceによると、2021年第3四半期(7~9月期)におけるOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)企業の売上高上位10社の合計額は前年同期比31.6%増の88億9000万ドルとなったという。

上位10社を本社所在国・地域別に見ると、台湾6社(ASE、SPIL、PTI、KYME、ChipMOS、Chipbond)、中国3社(JCET、TFME、Hua Tian)、米国1社(Amkor)となっている。

TrendForceは、この大きな成長の背景として、「世界的な新型コロナワクチン接種率の上昇による、欧州ならびに北米での経済活動の再開」を挙げており、世界的な半導体不足によるサプライチェーンの混乱、さらには輸送コストや材料費の高騰などがあったものの、スマートフォン(スマホ)やノートPC、モニターなどの需要と出荷は前四半期比で増加しており、それが主要なOSATの事業を後押しする結果となった」としている。

一部のOSATは、チップや基板などの主要コンポーネントの不足と、中国での電力不足により、稼働率をわずかに低下させたが、一部のOSATが基板レスの新たなパッケージング技術を推進したこともあり、そうした落ち込みの影響を業界全体としては軽微なものとしたともしており、こうした新規技術の適用拡大により、第4四半期のOSAT市場は好調に推移するものとTrendForceでは予想している。

  • OSAT

    2021年第3四半期期のOSAT企業売上高トップ10。この表の市場シェアは、OSAT市場全体ではなく、この10社の中でのシェアを示している (出所:TrendForce)

主要OSAT各社の動向

OSAT最大手のASEは、中国・蘇州の工場が電力不足の影響を受けてリードタイムを伸ばすこととなったが、スマホ向けアプリケーションプロセッサ、ネットワークチップ、車載半導体などのパッケージングとテスト需要が強く、売上高は前年同期比41.3%増の21億4800万ドルとなった。この勢いは第4四半期も続くと見られ、2022年も5G、IoT、AIといった市場の伸びにけん引され、事業を拡大することが期待されるという。

業界2位のAmkorもASEと似たような動きを見せており、売上高は同24.2%増の16億8100万ドルとなった。こちらも5G、IoT、AIといった市場の伸びにけん引され、今後も事業の拡大が続く見込みである。

3位の中JCETは、中国の国内半導体推進の恩恵を受ける形で、5Gスマホ、基地局、車載半導体、家電向け半導体などがビジネスをけん引。その結果w、売上高は同27.5%増の12億200万ドルとなった。4位SPILの売上高は、同15.6%増の10億3600万ドルとなった。同社は現在、台湾彰化県の新工場で高度なパッケージング技術の研究開発業務を強化することを目指している。5位のPTI(Powertech Technology)は、主にDRAMのパッケージングとテストの恩恵を受け、その売上高は同24.0%増の8億200万ドルとなったという。ただし、同社のメモリパッケージングの生産能力は、2022年第2四半期にMicronと交わしている西安ファブでの組み立ておよびテストサービスの契約が期限切れになるほか、Intelが2025年までに大連ファブのSK Hynixへの譲渡を終えるためで、PTIでは台湾新竹の新ファブの一部の生産能力をCMOSイメージセンサやFOPLPなどに再割り当てするなど動きを見せている。