TSMCは、10月14日に投資家向けに2021年第3四半期業績発表を中心とする説明会を開催するが、その内容は、第3四半期の財務報告、第4四半期の経営見通し、2022年の見通し、製造受託価格値上げ、最先端技術進捗、サプライチェーン、グローバル進出計画(Global Layout)といったものとなると、台湾の中央通信社が報じている。

日本では10月8日から9日にかけてテレビや新聞が、「TSMCとソニーが共同で熊本に半導体工場の建設を検討」といった報道を行っているが、情報の出所は明らかになっておらず、ソニーもTSMCもコメントを控えており、噂の域をでていないが、14日開催の説明会にてTSMCは、ドイツへの進出への状況とともに、この件についてGlobal Layoutという議題の中で何らかの説明があるものとみられている。

TSMCのMark Liu会長は7月末の株主総会にて、日本へのスペシャルティファウンドリ(Specialty Foundry)進出に関しては「Due Diligence(事前の詳細調査) 段階にあり、台湾での製造用コストがかさむ日本での製造に対するコスト削減策に関して日本側と打ち合わせを行っている」と述べている。このLiu会長のいうスペシャルティファウンドリとは、一般に、最先端プロセスを用いない特殊用途向け半導体デバイスの受託生産工場を指しており、CMOSイメージセンサやその周辺回路や車載半導体を指すとの見方が有力である。日本では、タワーパートナーズセミコンダクタ(TPSCo)がスペシャルティファウンドリを名乗っている。

また、米国商務省の半導体メーカーへのサプライチェーンに関する情報提供に関してTSMCがどのように答えるのかについても台湾では関心を呼んでいる。一部の少数株主は新竹地方裁判所へTSMCが機密情報を公開せぬように訴えている。台湾経済部の王美花部長(日本の経済産業大臣に相当)は、米国との友好関係を保つために当初はあいまいな態度をとっていたが、10月7日に開いたTSMC、UMCなど台湾半導体企業との会合で、「米国政府のアンケートは任意であり、メーカーは(機密事項には触れずに)自由に質問に答えることができる」と業界関係者に説明した。この件に関しても、14日の説明会でLiu会長から何らかの説明があると思われる。

TSMC9月度売上高が初めて1500億NTドル超え、四半期売上高も記録更新

TSMCが10月8日に発表した2021年9月度の売上高速報値は、同社の単月売上高として初めて1500億NTドルを超え、前年同月比17.7%増、前月比11.1%増の1526億8500万NTドルとなったという。主要顧客であるAppleのiPhone 13シリーズ向けA15プロセッサの出荷が拡大した結果だという。

また、それに伴い第3四半期の売上高も前年同期比17.5%増の4146億7000万NTドルとなり、四半期業績としての過去最高額をこちらも更新したという。ただし、5nmプロセスの粗利益率は依然として平均を下回っており、為替レートの不利な要因も重なり、第2四半期のTSMCのドルベースの粗利益率は50%に低下していることもあり、事前予測では第3四半期の粗利益率は49.5%から51.5%の間としていたが、実際に50%を維持できるかどうかが注目される。