米国のホワイトハウスは9月23日(現地時間)、「世界的な半導体不足などによる生産支障問題を議論するために世界の半導体サプライチェーンの代表企業を招集しホワイトハウスでオンライン会議を開いた」ことを明らかにした。

この日の会議は米国商務省のジーナ・レモンド長官とブライアン・ディーズ米国国家経済会議(NEC)委員長が主導したもので、Intel、Micron Technology、GlobalFoundries、Microsoft、Samsung Electronics、TSMC、Apple、Ampere Computingのほか、General Motors(GM)、Ford Motor、FCA、BMW、Daimler、Stellantisといった自動車企業も参加したという。

ホワイトハウスの公式発表によると、今回は解消の兆候がいまだに見えない半導体不足の問題と今後の需給見通しを集中的に議論したという。半導体不足問題とその対策としての強固なサプライチェーン構築はバイデン大統領が関心を持つ最優先事項の1つであり、この日の会議では半導体市場の透明性と信頼性をいかに高めるかについて議論したと言う。

会議の中で、レモンド商務長官は、半導体サプライチェーンのすべての企業(生産者、消費者、仲介業者)に、在庫、注文、および販売に関する社内情報を自発的に商務省に提出するように要求したという。商務省からのRFI(Request for Information:情報提供依頼書)の目的は、サプライチェーンのボトルネックが存在する可能性のある場所をつきとめて定量化することで、今後45日以内にRFIに対応するように求めたという。

レモンド商務長官は、会議後のインタビューで、民間企業の情報提供が得られない場合は、バイデン政権が「国防生産法(Defense Production Act of 1950)」の発動をはじめ他の手段を発動して強制する可能性があると業界代表らに警告したと述べた。同長官は、同法発動の目的は米国内の自動車生産を滞らせ、家電の品薄を引き起こしている半導体不足を緩和することと、在庫の抱え込みがあった場合にそれを特定することだと説明している。すでに同氏はこの数カ月間、これまでさまざまな産業セクターの代表を招いて会合を開いてきたものの、多くの企業は事業に関する情報を政府に提出せず、サプライチェーンの透明性は高まっていないことに不満を示していた。

こうした動きに対し、米国メディアは「突然ともいえる米商務省の情報提出要求は、米国政府の過度な介入として、会議に参加した企業は困惑している」と伝えている。

なお、バイデン米大統領は、この半導体会議の翌9月24日、日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国(通称:QUAD)による首脳会議を開催。4カ国は、台頭する中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、経済安全保障などの分野で連携を深めることを確認したほか、半導体については、AIや5Gの基盤として欠かせない「戦略物資」であると位置づけ、QUADの半導体生産能力やサプライチェーンの弱点についての分析を進め、調達の安定化を図ることで同意したとしている。