TSMC法務長(最高法務責任者)である方淑華(Fang Shuhua)氏が10月7日、台湾法務部と科技部が共同開催したフォーラムに登壇。「機密情報保護の観点からの企業の誠実さの実践」と題した講演を行い、米国商務省が車載半導体不足の原因追及を名目とした世界中の半導体企業や自動車企業に製造や販売に関する企業秘密を提供するよう要請している件に関して「どのように答えるかはまだ評価検討段階にあるが、顧客情報などの真に機密性の高い情報を決して社外に開示しないことを顧客や株主に誓約する」と述べたと台湾の複数メデイアが報じている。
TSMCはこれまで個別の顧客情報を開示したことはない。例えばAppleがiPhone用プロセッサをTSMCに製造委託しているという話はよく知られた話であるが、TSMCが公式に発表したことはなく、サプライチェーン関係者からの非公式情報やリバースエンジニアリングに基づいて、TSMCが製造を行っているとされている。
またUMCの最高財務責任者であるLiu Qidong氏も、同社が顧客の情報は非公開として保護すると語ったともしている。
台湾ではTSMCなどが機密情報の提供を余儀なくされるのではないかとの懸念が出ており、そうした話を払拭するための発言とみられる。
Fang Shuhua氏は「TSMCは自動車向け半導体チップ製造の生産能力を最大限に高めており、車載チップを可能な限り支援するために最善を尽くしてる」とも述べたという。
なお、同じく先端プロセスを提供するファウンドリをSamsungが展開している韓国では、通商産業資源部(日本の経済産業省に相当)の文勝煜(ムンスンウク)長官が10月5日、米国がSamsung ElectronicsやSK Hynixなど半導体メーカーに各種機密を要求したことに対し、「パリで通商産業資源部通商交渉本部長が米国大統領府通商代表部(USTR)の要人と会って、韓国企業の懸念事項を伝える」と述べたと韓国メディアが伝えている。