ASMLは9月29日(現地時間)、投資家向けイベントをオンラインで開催し、2030年に向けた長期売上高計画および装置ロードマップについての説明を行った。
それによると、同社は2025年の年間売上高をこれまでの150億~240億ユーロから、約240億~300億ユーロ(約3兆9000億円)へと大幅に上方修正したという。また、2025年時点の粗利益率も直近の51%から54%~56%へと向上すると予測しているほか、2030年までの10年間については約11%の年平均成長率を想定しているとしている。
ASMLの社長兼CEOのPeter Wennink氏は、「非常に収益性が高く、革新的なエコシステムに支えられたエレクトロニクス業界の世界的なメガトレンドは、半導体市場全体の成長を後押しし続けることが期待されている。半導体の最終市場の成長とリソグラフィ分野への設備投資の増加が、ASMLの製品とサービスの需要を後押ししてくれている」とのコメントを述べている。
また同氏は、「半導体企業の売上高に対する設備投資額の割合は、年によって10~30%とばらつきがあるが、2007年以降の平均は22%であり、半導体市場に対するリソグラフィ装置の売上高は、このところ1.7%(2015年)から3.0%(2020年)へと増加傾向にあり、2025年には3.7%へ増加すると予測される。ウェハファブ装置の売上高に占めるリソグラフィ装置の割合も20%(2000年前後)から2025年には25%へ増加する見込みである」と、同社のリソグラフィ・ビジネスが将来有望であることをSEMIや半導体市場調査会社のデータを使って力説した。
先進半導体企業が最先端のロジックデバイスやDRAMを製造するのに欠かせないEUV露光装置は、ASMLの独占状態にあり、今回の長期売上高の上方修正の背景には、1台200億円前後ともいわれるEUV露光装置の需要が今後さらに伸びる見込みがあるためだと思われる。また、世界的な半導体不足に対応するため、世界中で生産ラインの増設や新工場の建設が進んでおり、EUV露光装置のみならずArFなども含めて露光装置全般の需要も伸びていくことが期待されるともしている。
ASMLの売上高の露光装置タイプ別売上高比率におけるEUV露光装置の売上高は、2020年に43%であったが、2025年には7割近くまで伸び、全体の売り上げを大きく押し上げるという。
一方、同社のEUVビジネス担当エグゼクティブVPのChrisophe Fouquet氏は、EUV露光装置のロードマップを示し、今後のNA=0.33の装置以降について、さらなる微細化に対応する機種の提供を目指すとともに、スループットも毎時220枚(300mmウェハ)まで引き上げていくと説明した。
期待されているNS=0.55の高NA次世代機種に関しては、現在順調に開発が進んでおり、2024年までには試作機、2025年にはスループット毎時220枚の量産対応機種を販売する予定だとしている。2025年は、TSMCが「N2」(いわゆる2nmプロセス)、Intelが「Intel 20A」プロセスでロジックデバイスを量産することを見越している時期であり、ASMLもこの2nmプロセスによる量産に照準を当てて次世代装置の開発を進めている模様であり、imecもそれを裏付けるようなプロセスロードマップを示している。