日本オラクルは7月29日、CX( Customer Experience)事業に関する説明会を開催した。同事業の戦略については、理事クラウド・アプリケーション事業統括 CXクラウド事業本部本部長 桑野祐一郎氏が説明を行った。

  • 日本オラクル 理事クラウド・アプリケーション事業統括 CXクラウド事業本部本部長 桑野祐一郎氏

桑野氏は、2022年度のCX事業の施策として、「データドリブンCX」「新たな収益源の創出」「最新テクノロジー(AIと機械学習)の活用」という3つの軸の下、企業のDX(デジタルトランスフォーメーションをサポートすると述べた。

  • 2022年度CX事業の重点施策

続いて、桑野氏はCXを再考する上で重要な4つの視点として、「データの取得」「人材」「IT」「顧客接点すべての管理するCX」を挙げた。日本企業はこれら4つの点において、課題を抱えているという。

「データの取得においては、個人情報の利用規制が世界中で進んでおり、顧客のデータを取得する仕組みを整備する必要がある。あわせて、今後、3rdパーティCookieの利用が絶望的になることがわかっている。ITに関しては、日本企業では縦割り、かつ、個別最適化が進んでいるという特徴がある。その結果、CXを促進する上で、顧客データは重要にもかかわらず、部署ごとにばらばらになってしまっている。しかも、部署別の顧客データを集めても同じ顧客かどうかを判別できないという問題が生じている。こうした中、企業が競争優位性を確立する上で、すべての顧客接点でデータを取得して、管理することが重要となる」(桑野氏)

これら4つの視点から、企業がCXに取り組む際に実施すべきこととして、「まずは、顧客を知ることから始める」「次に、すべての可能性のあるポイントで顧客とエンゲージする」「インテリジェンスをアクションに変える」が紹介された。

桑野氏は、「顧客エンゲージメントは、財務・会計、バックオフィスのデータとプロセスに統合されることが必要であり、これによって、完全なものとなる」と語った。

続いて、理事クラウド・アプリケーション事業統括 CXソリューション・エンジニアリング本部長 竹内尚志氏が、注力しているCXソリューションについて、説明した。

  • 理事クラウド・アプリケーション事業統括 CXソリューション・エンジニアリング本部長 竹内尚志氏

オラクルはCX関連のソリューションを「Oracle Advertising and CX」というブランドの下、提供している。具体的には、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を基盤として、「Advertising」「Marketing」「Sales」「Service」に関するソリューションを展開している。

  • 「Oracle Advertising and CX」の概要

竹内氏は、今年に注力するCXソリューションとして、CDP「Oracle Unity」を紹介した。同氏はOracle Unityの特徴として、「業種・業態ごとの定義済データモデル」「リアルタイムでのターゲット顧客の抽出」を挙げた。「業種や業態ごとにデータモデルを設計しようとすると、時間がかかるが、Oracle Unityのデータモデルを使えば、その時間を短縮できる。実際、お客さまからの評判もよい」とのことだ。

  • 「Oracle Unity」の仕組み

加えて、注力するソリューションとして、サブスクリプションビジネスを管理するソリューション「Oracle Subscription Management」が紹介された。同ソリューションでは、サブスクリプションビジネスに関する定期課課金、従量課金、サービス&エンタイトルメント、契約更新管理、分析& レポーティングの機能を提供する。

竹内氏は、「サブスクリプションビジネスを始めると、バックオフィスで煩雑な作業が発生し、既存のシステムでは対応しきれなくなる。また、どうやって収益を生み出すかという点も盲点となっている」と述べた。

そこで、「Oracle Subscription Management」では、「顧客(ID)を増やす」「顧客を維持する」「顧客単価を増加させる」という3つのステップによって、サブスクリプションビジネスのARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)を最大化させる支援をするという。

同日、「Oracle Subscription Management」の最新機能として、「解約可能性(チャーン可能性)の予測」「組み込み済みのサブスクリプション・レポート」「商取引のセルフサービス・サブスクリプション」「 サービス・ロジスティクスとの統合」の国内提供が開始された。

例えば、予測モデルでは、人工知能(AI)と履歴から読み取れる指標を用いて、顧客の解約の主要な原因を特定する。サブスクリプション・ダッシュボードには、迅速に問題に対処しながら契約の更新率を最適化するのに必要なすべての情報が表示されるという。

竹内氏は、「サブスクリプションビジネスとCDPは切り離せない関係にある。オラクルはサブスクリプションビジネスに今後も投資していく」と語っていた。

  • 「Oracle Subscription Management」のサブスクリプション・ダッシュボード