米Lattice Semiconductorは5月11日(米国時間)、「Lattice Automate」というFA向けとなる新たなソリューションスタックを発表した。また、これに関する説明会がオンラインで開催されたので、その内容をご紹介したい。
Latticeはこのところ、FPGAそのものだけでなく様々なソリューションスタックを相次いで提供している(Photo01)。
今回は第4弾として、Facory Automation(FA)向けのソリューションスタックを提供する形だ。なぜこのマーケット向けにというのは明白で、ここの成長率が非常に高い&市場規模も大きく、まだ同社が参入する余地が十分にあるからということになる(Photo02)。
ただこのマーケットは競合も多い(FA向けMCUはすでに膨大な数の製品が出荷されている)訳であるが、差別化要因は高性能・低消費電力の他高信頼性、予知保全などが挙げられている(Photo03)。
そのLattice Automateのスタック構成がこちら(Photo04)。将来的にはまた機能が追加されるかもしれないが、現時点でのLattice Automateはモータ制御を中心にした構成で、これにAIベースの予知保全や産業向けEthernet、セキュリティ周りを組み合わせる形である。
このうちモータ制御については完全にFPGA Fabric側での制御を想定しているという(Photo05)。
リファレンスキットがBLDCモータ向けで構成されているが、実際にはBLDC以外にも多くの種類のモータ制御に対応しており、またセンサモータ/センサレスモータのどちらも利用可能との事。このあたりはPropelで具体的なロジックを組んでゆく事になるそうだ。
これと組み合わせるのが予知保全の話であるが、今回TensorFlow Liteを初めてサポート。これでモータの稼働状況のモニタリングをすることで予知保全が可能になる、という話であった(Photo06)。
システムとしては、PDM Data Collectorやセキュリティ保護を担うCentral Main Controller(Photo07中央上)の下に、複数のモータ制御用FPGAがぶら下がるという構図になる模様だ。
セキュリティ対策に関しては、すでにLattice Sentryを利用してレジリエントサーバを作る事が可能になっており、これを組み合わせる事で堅牢なシステムが構築できるとしている(Photo08)。
開発環境としては、肝心のモータ制御部はLattice Propelで構築でき、その他の部分はRISC-Vベースで開発すればよい、というのが同社の説明であった(Photo09)。
ちなみに先のPhoto04に戻るが、最上位には(これまでの同社のソリューションスタック同様に)カスタム設計サービスが提供される。Propelに用意のない特殊なモータ制御方式の開発や、あまり一般的でないFieldBusのサポートなど、ちょっと手間がかかる作業に関しては、同社のパートナーによるカスタム設計サービスでカバーされるという話であった。
ところで同社は米国時間の6月23日、新しいCertusPro-NXという汎用FPGAを発表することをアナウンスしている。今回のLattice Automateも、当然この新しいCertusPro-NX上で動く事が期待できそうだ。