昭和電工が5月6日付で、Infineon Technologiesとパワー半導体向けSiCエピタキシャルウェハに関する今後2年間(延長オプション付き)の長期販売および共同開発に関する契約を締結したと発表したが、半導体市場調査会社である仏Yole Développementによると、昭和電工は世界最大級のSiC外販メーカーで、Infineonは世界最大級のSiCデバイスメーカーであるという。
今回の契約締結により、Infineonの幅広いパワー半導体製品にて昭和電工のSiCエピタキシャルウェハが活用されることが期待できるようになるほか、新製品開発において両社の知見を合わせることで、製品品質の向上などを図ることができるようになるとしている。
Infineonとしても、同社産業用電力制御部門プレジデントであるPeter Wawerがは、「今後5年間で年間30〜40%の成長が見込まれるSiC半導体の市場をサポートおよび形成する上でInfineonが主導的な役割を演ずるために昭和電工と協力して素材の戦略的開発を行い、品質を向上させると同時にコストを削減することを目指す」と述べている。
SiCにかぎったことではないが、半導体素材とプロセスおよびデバイス設計は、互いに関連があり、高性能化を果たすためには「同時最適化」をする必要性が出てきており、今回のような材料メーカーとデバイスメーカーの共同開発や協業が近年、増加傾向にある。
高い成長率が続くパワーSiC市場
Yoleによると、SiCパワー半導体市場は2019年の5.41億ドル規模から2025年には25.62億ドル規模へと、年平均成長率(CAGR)30%で成長を遂げると予測されている。用途別では、車載用途の伸び率が高く、中でもEV充電インフラ向けCAGRが90%となっているほか、EVメインインバータやDC/DCコンバータなど自動車の制御向けが同38%と高い成長率が期待されている。
また、近年、EV/HEVメインインバータにパワーSiCデバイスを採用する自動車メーカーが増えており、SiCの市場拡大のけん引役を担っており、今後のEVの普及に伴い、SiCパワー半導体市場の成長が続くことが予想されるという。
なお、Yoleによると、SiCパワー半導体市場は2019年までSTMicroelectronicsがトップであったが、2020年はInfineonがトップを奪取。2021年第1四半期もInfineonがトップを守っている模様だという。