Touch Taiwan 2021が、2021年4月21日から23日の3日間、台湾台北の南港の展覧館でリアル開催された。様々なディスプレーの最新技術や製品が並ぶ中で注目される動向は、マイクロLEDディスプレーの実用化に向けた新しい技術の数々である。
AUOブースは、毎日身動き取れない大勢の参観客の活気で溢れていた。様々なディスプレーの最新技術が展示される中で目を引いたのがLEDディスプレーの数々である。また、ミニLEDをバックライトに搭載した液晶ディスプレーも数多く展示されており、ゲーミング用途などでの実用化も始まっている。
手前の壁にはL字型に配置された270型のLEDディスプレーを設置。27型のFine pitch LEDパネルをタイリングで並べたものである。右手奥に見える曲面状の物は、288型の横長スクリーンで27型のFine pitch LEDパネルを48枚並べたものである。その手前には、10.6型の透明マイクロLEDや、車載用として12.1型マイクロLEDクラスターディスプレー、9.4型フレキシブルマイクロLED、1.39型円形マイクロLEDも展示されている。マイクロLEDのチップサイズは30μm以下である。
Innoluxも様々な展示を繰り広げており、その中でも今回初めて披露したものは、92.4型のマイクロLEDである(図2)。この他にも、ミニLEDをバックライトに搭載した液晶ディスプレーも大画面TV、車載、ゲーミングなどの用途で様々なサイズのものを展示していた。
毎年斬新なコンセプトを披露するPlaynitrideは、今回は89型の5K曲面を初展示した(図3)。Playnitrideは、昨年「PixeLED Matrix」という新しい手法を発表している。この手法は、従来のようなマストランスファーで基板上に大量のマイクロLEDを転写して行くのではなく、16画素を1つのパッケージに納めた物を、PCB基板上に並べていく手法である。これによってマストランスファーで課題となっていた組み立て歩留まりの問題を解決している。
正面に89型-5Kの曲面マイクロLEDディスプレーを設置。画素ピッチは0.43mmで「16 in 1」と呼ばれるパッケージ組み立て技術を採用している。ブースの中では、マイクロLEDを用いたHUD(ヘッドアップディスプレー)、鏡にマイクロLEDを埋め込んだ「SenMirror」、透明マイクロLED、フレキシブルマイクロLEDなど様々なマイクロLEDを展示していた。
併設の会議では、「国際マイクロLED/ミニLEDサミット論壇」も開催され、リアル会場での講演と共にオンラインでも配信された。その中でマイクロLEDの技術開発をリードしてきたITRIは、「Micro LED 2.0」を提唱し、マイクロLEDの新たな発展方向として、画素をパッケージ化した「Pixel package」と「タイリング」の組み合わせによる大面積のLEDディスプレーの手法や、ARグラスからさらに進化したIA(Intelligence Augmentation)も提案している。IAとは、ARディスプレー表示に加えてセンシング機能を盛り込んでより高度化した処理をARグラス上で行っていくものであり、今後の技術開発の進展と実用化が大いに期待される。
著者プロフィール
北原洋明(きたはら・ひろあき)テック・アンド・ビズ代表取締役
製造拠点および巨大な市場であるアジア各地の現地での生情報を重視し、電子デバイス関連の情報サービス活動、セミナー・展示会などのイベント開催、日系企業の海外ビジネス展開をサポートしている。