ルネサス エレクトロニクスは4月21日、RISC-VプロセッサのIPなどを手掛けるSiFiveがルネサスにRISC-VコアIPポートフォリオをライセンス供与することなどを柱とする車載アプリケーション向け次世代ハイエンドRISC-Vソリューションの共同開発に向けた戦略的パートナシップを締結したことを発表した。
ルネサスは自動車分野に向けてマイコンを中心にSoC、アナログ半導体、パワー半導体などを提供し、近年はADAS、自動運転システムといった高い成長率が期待される分野に注力してきた。マイコンやSoCでは、独自のCPUコアのほか、Armを活用してきたが、今回のRISC-Vへの対応については、「安全で快適かつ環境に配慮した未来のモビリティ社会を見据えて、さらなるハイエンドSoCやMCU開発の可能性を広げるために、車載用に最適化した次世代の高性能RISC-Vコアの検討を進めるため」としており、製品ポートフォリオの拡充を図る狙いがある模様だ。
具体的には、AI ISA拡張機能を備えたSiFive RISC-V VectorプロセッサをベースにしたSiFive IntelligenceプラットフォームはAIやMLアプリケーション向けのスケーラブルなソリューションの開発を可能にするとルネサスでは説明しており、単なるプロセッサパフォーマンスで既存製品との住み分けを行う、というわけではなく、高いレベルにおけるADASや自動運転の実現などで求められるAI処理能力なども含めた製品開発が進められるものとみられる。
なお、ルネサスではすでにIoTなどの分野に向けたRISC-Vへの取り組みとして、2020年10月にAndes Technologyとの技術IP提携を発表しており、今回のSiFiveとの提携により、事業の柱としている車載、産業分野/IoTの双方でRISC-Vを搭載した半導体を実際に製品として提供する下地が整ったこととなる。