半導体市場動向調査会社である米IC Insightsは、2020年のICカテゴリ別の成長率ランキングトップ10ならびに2021年の成長率予測を発表した。世界半導体市場統計(World Semiconductor Trade Statistics:WSTS)によって定義された33のIC製品カテゴリのそれぞれの市場成長率を予測し、ランキングを作成したという。公表されたのは33カテゴリのうち、市場規模が1億ドル以上のもののみとなっている。
それによると、2021年はトップ10のカテゴリすべてが前年比で2桁の成長率を達成、売り上げ規模も1億ドル以上となると予測されている。同社は2021年のIC市場全体の成長率を12%と予測しているが、それを上位5カテゴリ(DRAM、NAND、車載アナログ、車載ロジック、組み込みMPU)はそれを上回るものとみている。ただしDRAMは好不調の波が大きいカテゴリで、2013年、2014年、2017年、2018年はもっとも高い成長率を示した一方、2019年は37%減という33カテゴリ中最低の成長率を記録している。
2020年、前年比20%を超す成長率を達成したのはワイヤレス、コンピュータ向け専用ロジックチップ、スマートフォン向けアプリケーションMPU、NANDの4カテゴリ。
期待がかかる車載ICの成長
車載IC関連はメモリ同様、成長率が高いカテゴリとして期待されているが、自動車の需要が回復する一方で車載ICの不足が問題視されるようになっている。自動車のエレクトロニクス化は、自動運転技術の進歩、ならびに電気自動車(EV)化の世界的な進展が下支えしており、2021年には新車1台あたり平均半導体搭載額は550ドル以上になることが期待されている。
また、近年、スマートフォン市場の成長鈍化に伴い、QualcommやSamsung Electronics、MediaTekなどのモバイルアプリケーションプロセッサベンダの多くが、セキュリティやAIアクセラレーションを統合するなど、機能拡充を図っている。それを受けて市場も、多くのシステムで自動化などが進みつつあり、組み込みプロセッサの需要を拡大させている。
特に32ビットマイコンは、8ビットならびに16ビットと同等のコストで導入できるようになってきており、さまざまな分野で活用が進みつつある。