F5ネットワークスジャパンとソフトバンクは1月19日、ネットワーク帯域に制限がある船上の衛星通信環境下で、テレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA」の番組映像をF5のキャッシュ機能を実装したMEC(Multi-access Edge Computing:端末から近い位置にデータ処理機能を配備することで、通信の最適化や高速化をすることができる技術)を活用し、複数の端末に同時配信する実証実験に成功したと明らかにした。

現在、4Gに加え、高速大容量・低遅延・多数同時接続とゆう特徴を有する5Gの登場で、4K/8Kなど高精細映像の高速伝送、VR/MRを活用した3Dコンテンツのライブ配信、自動運転車やロボットの遠隔操作、膨大な数の端末が稼働するスマート工場、インフラ設備の制御をはじめ、高度な通信要件が求められるサービスやソリューションの実現が期待されている。

一方で、生活圏ではない山奥や遠洋などでは、通信サービスが十分に行き届かないエリアが存在し、このようなエリアでは衛星通信が利用されているが、衛星通信は地上局に比べてネットワーク帯域が貴重であるため、データ通信が制限されるという課題があるという。

両社は、このような課題に対して、衛星通信環境におけるMECの有効性を実証するため、F5のキャッシュ機能をMECに実装し、通信帯域に制限がある環境下でABEMAの番組映像を複数の端末に同時配信する実証実験を行った。

  • 実証実験のイメージ

    実証実験のイメージ

実証実験では、通常スマートフォン1~2台しか映像を視聴できないような船上の衛星通信環境下で、スマートフォン10台で同時にABEMAの番組映像を安定的に視聴できることを確認。

MECでキャッシュを行わない場合、複数台のスマートフォンで映像が停止したが、MECでキャッシュを行うことで、スマートフォンを10台以上にした場合でもネットワークの負荷はほとんど変わらず、同時接続する端末数の増加に伴うトラフィックの増加を最小限に抑えられることも確認した。両社は、今後もさまざまな企業と連携して、MECを活用したソリューションを開発・提供していく考えだ。