Intelは2021年1月13日(米国時間)、取締役会を開催し2021年2月15日付けで、元Intel社員でVMwareのCEOなどを務めたPat Gelsinger氏を新たな最高経営責任者(CEO)に任命したと発表した。現CEOのBob Swan氏は、2月15日に退任する。Intelは今回の発表について、2020年の財務実績とは無関係だとしているが、業界関係者は誰も鵜呑みにはしないだろう。
また、Intelは、2020年第4四半期の業績について、2020年10月に公表したガイダンスを超え、7nmプロセス技術でも大きな進歩を遂げており、1月21日に開催予定の業績発表の場でそのアップデートに関する発表を行うとも予告している。
12年ぶりにIntelに復帰
Gelsinger氏は、1979年に高校を卒業後Intelに入社し、30年間勤務。CTOなどを務めた後、2009年に退職した。次期CEO選に敗れたため辞職せざるを得なくなったと言われている。その後、EMCの最高執行責任者(COO)を務めたほか、2012年からはVMwareのCEOに就任。同社の売上高をほぼ3倍に増やすことに成功したとIntelは説明している。
Intel取締役会のOmar Ishrak会長は「Patは、イノベーション、人材育成、およびIntelに関する深い知識の卓越した実績を持つ、実績のあるテクノロジーリーダーである。慎重に検討した結果、取締役会は、Intelでの変革のこの重要な時期にPatのテクノロジーとエンジニアリングの専門知識を活用するべきであるとの結論に達した。取締役会は、Patがリーダーシップに基づいてIntelの戦略を強力に実行し、CPU企業をマルチアーキテクチャのxPU企業に発展させてくれると確信している」と述べている。
また、Gelsinger氏は就任に際し、「Intelでキャリアを開始し、Glove、Noyce、Mooreの歴代トップの足元で学んだので、このリーダーシップの伝統に戻ることは私の特権と名誉である。私は、世界のデジタルインフラを構築してきたIntelの豊かな歴史と強力なテクノロジーに多大な敬意を払っている。Intelには、テクノロジーの未来を再構築し続ける大きな可能性があると信じており、信じられないほど才能のある社員と協力してイノベーションを加速し、顧客と株主に満足してもらえることを楽しみにしている」と述べている。
なお現CEOのBob Swan氏は、物言う株主の批判を浴びてわずか2年で辞任に追い込まれた形と言えるが、もとより社内に人材が枯渇し、暫定CEOからの流れで正式に就任した人物である。12年前にIntelを去っていった元社員を迎え入れることになったのは2年経った今も社内に人材が枯渇していることの証左となるだろう。AMDがIntelのシェアをうばいつつあり、NVIDIAもCPU市場への参入を狙う現在、CPU企業から脱皮してxPU企業を目指すというIntelのかじ取りはますます難しくなっている。
長期的な製造トラブルに悩まされてきた7nmプロセスで大きな進捗があったと同社は説明しているが、TSMCへの生産委託の判断がどのようになるのか、ますます注目される。