日本電信電話(NTT)およびドイツSAP SEは12月7日、両者がそれぞれの顧客、サプライヤーに向け、共創イノベーターとしてサービスを提供する全方位的なパートナーシップ構築に向けた戦略的提携の拡大について発表し、オンライン上で提携の書類にサインした。
両者は、これまで 30年以上にわたって協業し、2016年9月にもグローバルでの協業拡大を発表している。
今回の戦略的提携により、デジタルでつながるグローバルなバリューチェーンを構築し、リモートワールドやコネクテッドワールドを支援するソリューションの提供を行う予定。SAPのIoTやエッジコンピューティング、機械学習を含むインテリジェントな技術と、NTT のICT技術やグローバルなハイブリッドクラウド技術力を組み合わせ、これらコネクテッドバリューチェーンソリューションを共同開発・マーケティングを行うことにより、顧客、サプライヤー、小売業者、製造業者、配送業者にわたって統一化、自動化された連携を可能とするという。
また、データに対するリアルタイムのアクセスと分析を可能にすることで、企業がその情報を活用してサプライチェーン全体の俊敏性と弾力性を高めることが可能だという。
たとえば、 「コネクテッドサイト」により、拠点内の備品資産の追跡、従業員の安全性向上、設備の信頼性向上、および業務効率化が可能になるとしている。
SAP SE CEO クリスチャン・クライン氏は今回の提携について、「今回のパンデミックは大きな転換点となり、企業は事業を再構築し、プロセスを変革し、柔軟性を高めなければならない。これは、個々の企業内に留まるものではなく、バリューチェーンビジネスも含まれている。これに自力で対応できるところはない。会社の壁を越えて拡大するためには、グローバルな連携が必要だ。これが本日のわれわれとNTTの連携拡大の意図だ。両社のグローバルでのリーチと規模を活用することで、最大の課題を最高の機会に変えることができる。メーカー、サプライヤー、お客様といったバリューチェーンのすべての関係者を統合された自動的な形でつなげていく。想定しているのは、拠点内の備品の追跡、従業員の安全性の向上、設備の信頼性向上、業務効率化だ。また、コネクッドモビリティは移動中の備品を追跡し、安全性の高い輸送を実現する。コネクテッドプロダクトは、コンテナから個々の製品まで、End-to-Endのサプライチェーンを可視化する」と語った。
また、NTT 代表取締役社長(社長執行役員)澤田純氏は、「NTTは完全にデジタル化された社会を実現し、スマートワールドの実現に貢献したいと考えている。このビジョンを実現するため、NTTはSAPと連携し、将来に対応できるソリューションを共同で開発してイノベーションを進めいくことで合意した。NTTのフルスタックの能力、すなわち業種別ソリューション、IoT、マルチハイブリットクラウド、グローバルインフラなどとSAPのソリューションを組み合わせることで、さらにイノベーションをドライブし、コネクテッドバリューチェーンを提供できる。今回の提携は、そのために必要なものだ。われわれが目指すBtoBtoXにとって、SAPとの提携はもっとも重要な機能の1つだ。SAPとの30年の歴史を考えれば、今回の提携は当然の帰結だ。また、新しいスタートでもある」と述べた。
澤田氏は、開発するいくつかのソリューションについては、来年、PoCを開始すると語った。
そして、SAPアジアパシフィックジャパン プレジデント スコット・ラッセル氏は、今回の両社の提携について、「SAPは30年にわたり、NTTの子会社と協業してきた。本日、グローバルにおける関係を拡大し、Win-Winの関係を構築していく。これは、いま、本当に必要なことだ。また、市場の需要を獲得し、世界中の顧客の簡素化を推進していく。NTTとSAPの関係の進化、強化により、両社の専門性を活かし、ソリューションを共創し、企業がインテリジェントエンタープライズ進化するのを支援する」と述べた。