SAPジャパンは6月8日、SAP SEが、SAP HANAをベースとしたPaaS「SAP HANA Cloud Platform」のデータセンターを東京と大阪の2都市に開設されることを発表した。

HANA Cloud Platformのデータセンターは現在5カ所にある。日本のデータセンターからのサービス提供開始は、東京データセンターが2016年11月、大阪データセンターが2017年第1四半期(1~3月期)を予定している。

国内にデータセンターが開設されることにより、官公庁や金融機関をはじめ、国外データセンターの利用を制限するなどの厳しいセキュリティポリシーを有する組織でも、HANA Cloud Platformを利用できるようになる。

HANA Cloud Platformのデータセンターの場所

SAP SE プレジデント デジタル・エンタープライズ・プラットフォーム担当 スティーブ・ルーカス氏

SAP SE プレジデント デジタル・エンタープライズ・プラットフォーム担当 スティーブ・ルーカス氏は、「企業はさまざまな技術を使っており、それらのインテグレーションに多くの時間をかけている。HANA Cloud Platformには技術をインテグレーションするための含まれているため、HANA Cloud Platformを使えばインテグレーションにかかる時間を削減して、その分、イノベーションに時間を割くことが可能になる。」と、企業が HANA Cloud Platformを利用するメリットを説明した。

あわせて、SAP HANA Cloud Platformのスプリングリリースの特徴も紹介された。例えば、SAP S/4HANAやSAP SuccessFactorsといったSAPソリューションとの統合機能が拡張され、外部のビジネスアプリケーションとの連携を可能にするAPI統合機能も強化された。また、Cloud Foundry のベータサービスも開始されたほか、MongoDB、Redis、PostgreSQL、RabbitMQなどのオープンスタンダードなサービスにも対応する。

ルーカス氏は、次のフォールリリースでOpenStackをサポートすること、今後、ビジネスユーザーがノンコーディングでアプリケーションを開発することが可能なツールを提供する予定であることを明かした。

SAPジャパン 代表取締役社長 福田譲氏

HANA Cloud Platformの国内展開については、SAPジャパンの代表取締役社長を務める福田譲氏が説明を行った。

福田氏はHANA Cloud Platformの最大の特徴として「ビジネスコンテキストを多く含むPaaSであること」を挙げた。例えば、HANA Cloud Platformは、パーソナライズされたユーザーエクスペリエンスの構築・拡張を支援する統合コンポーネント「SAP User Experience as a Service」を備えており、システムを変更することなく、すぐれたユーザーインタフェースを備えたフロントエンドに変更することもできる。

SAPは、アマゾン ウェブ サービスやマイクロソフトなど、いわゆる"競合"とパブリッククラウドにおいて提携しているが、福田氏は同社のクラウドに関する戦略は「Apple Storeと同じで、競争ではない」と述べた。「Apple Storeがリファレンスとして自社製品の展示と販売を行っているが、われわれもパートナーとマーケットを取り合うつもりはない。"フルインメモリとは何か?"、"どうすればHANA Cloud Platformのテクノロジーを引き出せるか"といったことを示したい」(福田氏)