米国政府の半導体デバイスや製造装置の事実上の禁輸制裁をうけて苦しんでいるHuaweiが、米国の技術を使わない半導体工場を上海に建設する計画だと英Financial Timesが報じBloombergなどの欧米メディアが後追いの形でそれを伝えている

Huaweiの内部事情に詳しい情報筋によると、建設される半導体工場では45nmプロセスを使ったレガシーチップの製造から開始する見込みで、2021年末までにIoT端末向けの28nmのチップ、22年の終わりまでには20nmの5G通信機器用チップを製造することを目指すとしている。

Huaweiには半導体チップ製造の経験がないため、同工場は上海市政府が支援する研究会社が運営することになるという。

日本の製造装置メーカーにも相次いで打診

日本でも、多くの半導体製造装置、検査装置、搬送装置メーカーに、Huaweiの日本オフイスを通して米国技術を使っていない製造装置や関連付帯備に関する打診がすでにさまざまな形であった模様である。

Huawei側の担当者は、日本の装置メーカーや半導体メーカーから転職した日本人で、半導体製造プロセスに相当詳しく、すでにHuawei Japan内部でプロセスの検討を始めているという。日本の半導体製造装置業界関係者の一部からは、「数年後に深センに半導体工場を建設する」ための協力要請を受けたという声も聞こえている。両者の話を矛盾なくつなぎ合わせると、今回報じられた上海の半導体ファブは研究・試作ラインで、深センのファブが量産ラインとなる可能性もある。

現在、日本ではパナソニックが半導体事業を北陸3工場含めて台湾企業に売却、東芝はシステムLSI事業撤退で770人もの人材をリストラ実施中であり、ASMLの躍進でさらにはますます市場シェアを落とすリソグラフィ業界はじめ半導体装置メーカーにも人材が余剰気味になっており、Huaweiはじめ中国半導体業界にとっては、日本で冷遇されてきた半導体研究者や技術者をリクルートする絶好のチャンスとなっている。