日本マイクロソフトは10月14日、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の製品戦略に関する記者説明会を開催した。マーケティング& オペレーション部門 Azure ビジネス本部 プロダクトマーケティング& テクノロジ部 部長の田中啓之氏が説明を行った。

  • 日本マイクロソフト マーケティング& オペレーション部門 Azure ビジネス本部 プロダクトマーケティング& テクノロジ部 部長 田中啓之氏

    日本マイクロソフト マーケティング& オペレーション部門 Azure ビジネス本部 プロダクトマーケティング& テクノロジ部 部長 田中啓之氏

Microsoft Azureのビジネスにおいて、前年度は「既存アプリケーションの Azure への移行」「クラウドネイティブなアプリ開発と既存アプリのモダナイズ」「クラウド導入プロセスの標準化とクラウドセンター オブ エクセレンス (CCoE) 文化の醸成」に注力してきたが、今年度もこの3つの柱に変更はないという。

田中氏は、「前年度は『既存アプリケーションのAzure への移行』に注力してきたが、今年度は『クラウドネイティブなアプリ開発と既存アプリのモダナイズ』に特に力を入れる」と語った。

  • FY21 Microsoft Azureの戦略と注力シナリオ

    FY21 Microsoft Azureの戦略と注力シナリオ。3つの柱から構成される

「クラウドネイティブなアプリ開発と既存アプリのモダナイズ」を推進するにあたっては、パートナーエコシステムの強化と業界別ユースケースを起点とした新規ビジネス開拓に取り組む。「今年度は、データ分野までパートナーを増やすことを計画している。また、業界別シナリオを増やし、基本的な部分はシナリオで対応していく」と、田中氏は説明した。

  • 「クラウドネイティブなアプリ開発と既存アプリのモダナイズ」に関する施策

「既存アプリケーションのAzureへの移行」については、Windows Virtual Desktopを活用したリモート環境の構築、サーバマイグレーション、ハイブリッドクラウドにおけるアプリケーションのイノベーションに取り組む。Windows Virtual Desktopのニーズは高く、ここ半年で1000件以上の案件があったという。田中氏は「シトリックスやヴイエムウェアとともに、Windows Virtual Desktopの導入を進めていきたい」と述べた。

「ハイブリッドクラウド」については、オンプレミスのハイブリッド環境で仮想化されたWindowsおよびLinuxのワークロードとそのストレージをホストするハイパーコンバージドインフラストラクチャ (HCI) クラスタソリューションの「Azure Stack HCI」が核となる。田中氏は、「OEMのハードウェアメーカーやパートナーと協力して、データセンターの仮想化されたサーバをAzureに移行していきたい」との意向を示した。

  • 「既存アプリケーションのAzureへの移行」に関する施策

「クラウド導入プロセスの標準化とクラウドセンター オブ エクセレンス (CCoE) 文化の醸成」については、クラウド導入のためのフレームワーク「Cloud Adoption Cloud Adoption」、クラウドのセンターオブエクセレンス、エンタープライズスキル イニシアチブ、顧客、パートナー企業、開発者を対象に、ニューノーマルにおいて新しい働き方やデジタルトランスフォーメーションの実現を支援するプロジェクト「Azure Base」を推進する。

  • 「クラウド導入プロセスの標準化とクラウドセンター オブ エクセレンス (CCoE) 文化の醸成」に関する施策

「Cloud Adoption Cloud Adoption」は米国で作られたものだが、日本マイクロソフトがカスタマイズして提供していく。クラウドのセンターオブエクセレンスに関しては、昨年度、大手企業10社以上で構築の実績があるという。

「Azure Base」は同日発表されたもので、マイクロソフト製品の発信基地として、代官山のフラッグシップ拠点をベースに、当初は全国10拠点で展開される。具体的には、「Azure を活用したパートナーソリューションの展示、実証実験の場」「Teams Live Studio」「イベント・セミナーを通じた地方創生およびデジタルトランスフォーメーション実現の支援」「オンラインでの情報提供」を提供する。

そのほか、新たな支援策として、「Azure Migration Program」「Immersion Workshop」「Azure Enterprise Skill Initiative (ESI)」が提供される。Azure Migration Programは、Azureへの移行コストの効率化を実現するためのオファリング群で、さまざまなオファリングが提供される。

  • 「Azure Migration Program」の概要

Azure Immersion Workshopは、1日でAzureの技術的詳細からビジネスでの活用シーンすべてを知ることができるワークショップで、アナリティクス、AI、Windows Virtual Desktop、クラウドネイティブアプリに加え、データ、インフラ、.NETアプリのモダナイゼーションに対応している。「Azure Enterprise Skill Initiative」は、デジタルトランスフォーメーションの実現に不可欠なデジタルスキルの育成を支援するプログラムとなっている。

  • 「Azure Enterprise Skill Initiative」の概要