IIJ(インターネットイニシアティブ)は8月3日、トヨタ自動車北海道が新型車「ヤリス」に搭載する駆動ユニットを生産するために新設したラインにおいて、設備稼動情報を可視化、分析するためのIoTシステムを構築したと発表した。
同システムは、設備の制御を行うPLC(機械自動化装置)やCNC(数値制御装置)から、モバイル通信を使い設備やラインごとに稼働状態のデータを取得し、リアルタイムデータをダッシュボードで共有することで意思決定の速度を向上させる。
また、分電盤より分岐する設備・ライン単位での電力使用量を把握し、省エネに向けたデータを収集する。
さらに、閉域のモバイル通信を利用することで、工場内設備に出向くことなくオフィス環境や他の工場から遠隔で産業用PCの再起動やデータ送受信制御などの管理が可能だ。
同システムはIIJのモバイル通信を活用しており、既存の情報系ネットワークに影響を与えず、かつ有線のような棟内工事が不要としている。
また、産業用PCからクラウドまでの通信はすべて閉域網を利用し、クラウド環境にはリソースを共有しない専有型のプライベートクラウドを提供することで、オンプレミスと同等のセキュリティと性能を確保した上で、分析環境や工場内の産業機器へのアクセスを可能にしている。
現在、新生産ラインの約370の設備を対象にIoTシステムを導入し、データ点数は約3万に上るといい、IIJは今後、ローカル5Gの活用、抜き取り検査結果と設備稼働情報の照合、設備の予兆管理などの取り組みを行い、対象設備や取得データの種類を拡張していく方針だ。