Intelは7月27日(米国時間)、同社のChief Engineering Officer and Group President of Technology, Systems Architecture & Client Group(TSCG)で7nmプロセス開発に関わってきたMurthy Renduchintala氏が8月3日付で退社すること、ならびにTSCGの組織変更を実施したことを発表した。
同社CEOのBob Swan氏は7月23日の第2四半期決算発表の際に、10nmプロセスに続いて7nmプロセスでも製造歩留まりが1年ほど向上しない状態が続いており、製品の供給計画が遅れる可能性があることを述べ、今後、ファウンドリへの製造委託についても言及しており、今回のTSCGの組織再編は、製造・開発部門を中心に人心一新を図ることを目的に実施したものと思われる。
TSCGの組織再編は即日実施され、すべてのチーム長がCEOに直接報告することとなる。
技術開発 (統括:Ann Kelleher氏)
技術開発部隊を率いるAnn Kelleher氏は、製造責任者として新型コロナウイルスが拡大する中でも継続的な工場の運用を進め、チップ生産を確保してきた人物。今後は、7nmおよび5nmプロセスに焦点を当てたIntelの技術開発をリードしていくこととなるという。また、これまで同社の技術開発をリードしてきたMike Mayberry氏は、年末に予定されている定年退職までコンサルタントとして業務を支援することとなるという。Mayberry氏はIntelで36年間にわたって技術開発をリードしてきた人物で、Intel Labsのリーダーとしても知られている。
製造・工場運営 (統括:Keyvan Esfarjani氏)
製造・工場の運営を率いるKeyvan Esfarjani氏は、Intelの不揮発性メモリソリューショングループ(NSG)の製造を主導してきた人物。同社におけるメモリ製造のビジョンと戦略を設定し、生産能力の拡充を主導してきたという。今後は、グローバルな製造オペレーションを主導し、Kelleher氏の開発する製品の立ち上げと新規ファブ能力の構築を推進する責任を負うという。
設計エンジニアリング (統括:Josh Walden氏)
設計エンジニアリング部門は、暫定的にJosh Walden氏が責任者となる。同氏は製造技術とプラットフォームエンジニアリングで実績を有している人物でありIntel Product Assurance and Security Group(IPAS)を率いてきた。今後もIPASについても同氏が統括していき、設計エンジニアリング部門の統括については、最適な人物が選任されるまでとなる予定である。
アーキテクチャ・ソフトウェア・グラフィックス(統括:Raja Koduri氏)
Intelのアーキテクチャとソフトウェア戦略、および専用グラフィックス製品ポートフォリオの開発を推進する責任者であるRaja Koduri氏への今回も組織再編による変更はない。そのため、これまで同様、ソフトウェア資産を戦略的資産として投資し、クラウド、プラットフォーム、ソリューション、サービスの専門知識を備えたソフトウェアエンジニアリングを構築していくことになるとしている。
サプライチェーン (統括:Randhir Thakur氏)
サプライチェーンの統括もRandhir Thakur氏で人事的には変更はない。ただし、同氏はCEO直属のサプライチェーンオフィサーに就任するため、同部門の重要性が増していることが示されたとしている。また、同氏はエコシステムの主要なプレーヤーとの関係を認識している人物であり、サプライチェーンによるIntelの競争上の優位性をもたらす責任を負うことになるともしている。
なお、Murthy Renduchintala氏はIntelが2015年にQualcommから引き抜いた人物で、前CEOのBrian Matthew Krzanich氏が2018年に退任した際には次期CEO候補の1人として取りざたされていた大物である。複数の米国メディアは、Intelはここ最近、元Appleの役員であったSoC開発担当の上級副社長やAMDから移籍した著名技術者などが相次いで退職する状態となっており、長期にわたる製造プロセスのトラブルとそれによる長期にわたる製品の出荷計画の遅れに起因して社内が混乱しているようだと伝えている。