Lattice Semiconductorは6月24日(米国時間)、28nm FD-SOIプラットフォームFPGAの第2弾品として、汎用向けとなる「Certus-NX」を発表した。
元々同社は2019年12月、「Nexus」と呼ばれる新しいプラットフォームと、その上で構築された画像処理向けのCrossLink-NXシリーズFPGAを発表しているが、今回発表の製品はこれに続くものである。
同社は、CrossLink-NXの後も新しいMachine Vision用Stackである「mVISION」を2020年2月に、6月3日にはRISC-Vコアを含むIPを迅速に利用してシステムを構築するための「Lattice Propel」を発表するなど、エコシステムの充実に注力してきた感はあるが、今回の発表はこれを加速するものである(Photo01)。
さてそのCertus-NX、端的に言えばCrossLink-NXから映像向けのD-PHYなどを省いた構成というのが一番早いかもしれない(Photo02)。
逆に言えば、CrossLink-NXの持っていた長所は、そのままCertus-NXにも引き継がれている。こちら(Photo03)とCrossLink-NXの概要を比較していただければ、概ね同じであることが判る。
D-PHYは省かれた代わりに、SGMIIとADCが新たに追加されており、より汎用的に使える事を目指した格好だ。加えて、公開鍵暗号を利用したECDSAビットストリームをサポートした(Photo04)のも新しいトピックである。
競合として位置づけられているのはXilinxのArtixやIntelのCyclone Vと比較しても圧倒的に小さく、それでいてI/Oピン数も十分に確保でき、しかも高速である(Photo05)というのが同社の主張である。
単にパッケージだけでなく、消費電力(Photo06)や立ち上がり時間(Photo07)の短さ、さらにはソフトエラーレートの低さ(Photo08)なども強みになるとしている。
ラインナップとしてはロジックセルが17Kと39Kの2品種で、6mm×6mm~14mm×14mmまで3種類のパッケージが用意される(Photo09)。
すでに開発キットとサンプルを一部顧客には提供中という話であった。ちなみに価格に関して言えば未公開であるが、当初は多少プレミアが付くものの、従来製品と大きくは変わらない(数十%程度のオーダー)という話であった。
ちょっと話が前後するが、同社は2018年に経営陣が変わって以降、改めてFPGAにフォーカスする形でビジネスを伸ばしており、現状では量産FPGAのNo.1サプライヤであるとしている(Photo10)。
この4年で10億個のFPGAを出荷、というのは要するに同社が主戦場とする小容量の、それこそGlue Logic向けの用途がますます増えているということでもある。そして経営陣が変わったことで、2018年まで営業利益/純利益共に赤字が続いていた同社の財務状況は、2019年度にはどちらも黒字転換に成功している。ただ売り上げの絶対額そのものはここ5年ほど常に4億ドル前後で推移しており、そろそろここへの梃入れが必要になる時期である。Nexusプラットフォームはまさにその梃入れのための武器であり、今回のCertus-NXがどの程度市場に受け入れられるかがポイントの1つとなるだろう。