マルチセンサ・プラットフォームによるより多くの機能提供

技術の進歩にともない、複数のセンサを単一プラットフォームに統合し、特に主たる価値がその主要機能で決まる場合、コネクテッドアセットがより大きな価値を生み出す可能性が高まっています。照明器具を例にとりましょう。その主要機能は照明することですが、前述のように、膨大なデータを取得するための理想に近いセンサノードでもあります。

複数のセンサを1つの資産に組み込むことで、その資産の価値は高まります。これはスマートビル・インフラの非常に重要な部分となりますが、外見上は普通の照明器具のように見え、そのように動作します。センサは物理的に小型で超低電力のため、小型PCBに容易に複数のセンサを搭載し、在室状況、温度、湿度、空気の質などを監視できます。RSL10 Bluetooth Low Energy無線のような超低電力の通信デバイスを使用することにより、マルチセンサ・プラットフォームをコイン型電池1個で何年も稼働させることが可能になります(図4)。

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    図4:RSL10システムインパッケージ(RSL10 SIP)によるマルチセンサ・プラットフォームの一例

さらに、現在では電池の必要性を完全になくし、環境から得たエネルギーを使用してマルチセンサのコネクティッド・プラットフォームに電力を供給することも可能になっています(図5)。

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    図5:エナジーハーベスト技術によるスマートセンサおよびアクチュエータへの主要エネルギー源

これによって、事実上ビルのどこにでもスマートセンサを配置できるようになります。例えば、比較的小型で邪魔にならない太陽電池を使用して、人工照明から十分なエネルギーを集めてマルチセンサ・プラットフォームに電力供給し、定期的にデータをゲートウェイに送り返すことが可能になります。

まとめ

エネルギー効率は、ビルのエネルギー効率を高めて低消費電力化を実現するという観点からも、それを可能にする先進技術を備えた低電力ソリューションを提供する上でも、スマートビルの継続的な成功にとって重要な要素となることでしょう。

技術スタック全体にわたって、つまり使用するセンサからアクセスされるクラウドサービスに至るまで、省エネルギーが鍵を握っています。配備されるセンサ数の増加にともない、ビルのユーティリティ制御に適用できる精度も向上し、エネルギー効率化の範囲が拡がります。

しかし、これはセンサ、プロセッサ、コネクティビティ技術の継続的な効率向上に大きく依存しています。量の増加にともない、エナジーハーベスト技術を使用して電力を発生させるなど、エネルギー面で自立する技術を採用することも必要になるかもしれません。

オン・セミコンダクターは、高集積Bluetooth 5ソリューションのRSL10など、低電力センシングおよびコネクティビティ技術を先駆けて開発しています。また、インテリジェント音声処理やイメージングシステムによって補完することで、より高いエネルギー効率で、よりスマートなソリューションを提供することを目指しています。

著者プロフィール

Pavan Mulabagal
ON Semiconductor
Director, IoT Strategy and Marketing