筑波大学、東京工業大学の2大学、ならびにアヴネット、ザイリンクス、SUSUBOX、特殊電子回路、フィックスターズ、わさらぼの6社は2020年4月1日、日本初となる産学連携によるFPGA検証環境と学習機会を無償提供する組織「アダプティブコンピューティング研究推進体-ACRi(ACRi:アクリ)」を設立したと発表した。
AI(人工知能)やIoTを実現するためのコンピューティングシステム環境においては、アルゴリズムの変更や演算速度の高速化(アクセラレータ)といったニーズが常にある一方、SoCのような回路構成が決まっている半導体を用いる場合は、柔軟にそうしたニーズに対応することが難しかった。そのため、近年はC言語などのプログラミング言語で半導体の回路を自由に書き換えることが可能なFPGAをそうしたニーズに活用する機会が増えてきた。
しかし、FPGAという半導体デバイスは、それまでFPGAを活用してきた組み込み業界や半導体業界以外ではまだまだ普及しているとは言えず、特にAI分野などで活躍するソフトウェアエンジニアにとって、FPGAの開発環境や検証環境の使い方などが浸透しているとはいえる状況ではなかった。
そこでACRiでは、FPGAを活用した高性能なアダプティブコンピューティング・システムの開発およびその設計を効率化するための基盤開発を目指し、情報の提供や技術者が互いに学びあえる仕組みづくりに2大学および13社の協賛のもと取り組んでいくことを目的に活動を開始したという。
第1期の事業期間は2020年4月から2023年3月までの3年間を予定しており、「AI等の処理を高速化するFPGAアクセラレータの開発」、「IoTのためのFPGAアクセラレータおよびFPGAシステムの開発」、「設計を効率化するためのFPGA活用基盤の開発」という3つの研究テーマのもと、FPGA検証環境の無償提供(2020年夏頃に公開予定)やブログ、ワークショップ/セミナー開催などを通じた最新技術を学べる環境の提供、オープンコミュニティによるエンジニア間の交流の場の提供などを進めていくとしている。
なお、発起人は東京工業大学 情報理工学院 情報工学系の吉瀬謙二 准教授で、同氏は発足にあたって「FPGAをもっと使ってほしい、楽しんでほしい、その魅力に触れてほしい、FPGAを活用してほしい、そしてFPGAの利活用により多くの人々の健康や幸せにつながってほしいと思います」とコメントしている。
4月1日付で参加している15団体は以下のとおり。
大学
- 筑波大学
- 東京工業大学
創設企業
- アヴネット
- ザイリンクス
- SUSUBOX
- 特殊電子回路
- フィックスターズ
- わさらぼ
参加企業
- アイベックステクノロジー
- アクセル
- インターネットイニシアティブ
- インテリジェント ウェイブ
- KDDI
- サイバーエージェント
- Mipsology SAS