包括的なSmartNICプラットフォームが登場
Xilinxは3月3日(米国時間)、単一デバイスでネットワーク、ストレージ、コンピューティングの高速化を実現できるSmartNICプラットフォーム「Alveo U25 SmartNIC」を発表した。また、併せてOpen Compute Project(OCP) Spec 3.0フォームファクターのイーサネットアダプタ「XtremeScale X2562」ならびに、FPGAベースのOCPアクセラレータモジュール(OAM)のリファレンスアーキテクチャ(PoC)も発表した。
SmartNICは通信事業におけるSDN、仮想スイッチング、NFV、NVMe-oF、電子取引、AI推論、ビデオ トランスコーディング、データ分析など増加し続けるワークロードに対応できる包括的なソリューションとして期待される一方で、開発と運用に多額の研究開発費がかかるため、導入がなかなか進まないというジレンマを抱えていた。同SmartNICプラットフォームは、そうした課題解決に向け、単一プラットフォームにネットワーク、ストレージ、演算アクセラレータ機能を統合したもので、プラグアンドプレイ機能により、SmartNICの利用拡大を促進することを可能としたと同社では説明している。
具体的には、Bump-In-The-Wire(BITW)方式でネットワーク、ストレージ、コンピューティングのオフロード機能およびアクセラレーション機能の実装可能にしたことで、CPUの負荷を軽減。そうして生み出されたCPUのリソースを、より多くのアプリケーションに割り当てることを可能とする。また、搭載されているArmプロセッサによる独自のコントロールプレーンによる処理機能が提供されるため、新しいベアメタルサーバのユースケースをサポートするとしているほか、Solarflareを買収して手に入れたOnloadアプリケーション アクセラレーションソフトウェアを含む標準のフル機能搭載NICとドライバを使用した場合、レイテンシを最大 80%削減し、クラウドベースアプリケーションでTCPサーバアプリケーションの効率を最大400%向上させることが可能だとしている。
SmartNIC向けターンキーアプリも提供
また、ティア1以外のクラウド/データセンター事業者でもSmartNICを運用して、すぐに収益化を図ることを可能とするXilinxならびに同社パートナーが提供するターンキーアクセラレーションアプリケーションの利用も可能だとしている。最初に提供されるアクセラレーションアプリケーションは、90%以上のOpen vSwitch(OVS)処理をサーバからオフロードし、パケットスループットを5倍以上向上させることが可能なオフロード/アクセラレーションで、今後、XilinxのターンキーソリューションとしてSSL/TLS、AES-256/128、分散ファイアウォールなどのセキュリティ機能やAI推論の高速化機能などが提供される予定であるという。
すでに、アーリーアクセスの顧客に向けてサンプル提供を開始しており、一般向けにも2020年第3四半期より提供を開始する予定だとしている。
OCP 3.0フォームファクターのイーサネットアダプタ
一方のXtremeScale X2562は10/25Gbpsのイーサネットアダプタカードで、電子取引およびエンタープライズデータセンター向けにマイクロ秒未満のレイテンシと高いスループットおよび大規模コネクティビティを提供することで、パケット情報やフロー情報を数千規模の仮想NICにリアルタイムで送信することが可能だとしている。こちらも現在、サンプル提供を開始している段階にあり、2020年第2四半期より一般向けに提供を開始する予定だとしている。
FPGAベースのOAMリファレンスアーキテクチャ
なお、OAMリファレンスアーキテクチャはOpen Accelerator Infrastructure(OAI)準拠で、8GBのHBMメモリを搭載したUltraScale+ VU37P FPGAベースのメザニンカードで、7つの25Gbps ×8リンクをサポートし、分散アクセラレーションのための豊富なモジュール間システムトポロジを可能にするものだという。