Lattice Semiconductorは、2019年10月15日~18日にかけて幕張メッセにて開催されているCPS/IoTの総合展「CEATEC 2019」において、自社の低消費電力FPGA「iCE 40 UltraPlus(UP)」や「ECP5」を活用したさまざまなソリューションの紹介を行っている。
iCE 40 UPで行われているのは、主に5K LUTに搭載可能な小型ニューラルネットワーク(CNN)エンジンを活用したAI(人工知能)ソリューション。例えば、クラウドを介しないで顔認証ができることは、すでに発表済みであったが、今回はiCE 40 UPを2個組み合わせることで、合計14mWで顔を認識した後に、顔の特徴点をさらに解析し、笑顔を判別することを可能としたほか、同じく2個のiCE 40 UPで人物を検知した際に、カメラを追従させるといったことが可能であるといったデモが行われていた。
また、同じiCE 40 UPを1個だけ使用して、32×32出力のアクティブIR(赤外線)センサで検知した手の形状(グー、チョキ、パー)に併せて、LEDの色をグーであれば緑、チョキであれば赤、パーであれば青にリアルタイムで光らせる、といったデモも実際に試すことができる。
よく光学カメラで形状パターンを認識させて、光らせているのでは、といった質問を受けるとのことであったが、基板を見る限り、光学カメラではなく、IRセンサが搭載されているのみであり、実際にこうしたジェスチャーでウェアラブル機器を動かしたいといったニーズに活用されることが期待できる技術となっている。
小型FPGAでリアルタイムサラウンドビューを実現
一方のECP5は、自社の技術紹介のみならず、海外(主に中国)のパートナーが開発して販売しているソリューションそのものの紹介も行われていた。
例えばShenzhen Moorechip Technologls(馳晶科技)が25K LUTのECP5を採用して開発した360°サラウンドビューシステムは、後付で自動車にサラウンドビュー機能を搭載させることを可能とするもの。画像補正やスティッチなどにも対応可能で、4つのカメラからの映像をリアルタイムでサラウンドビュー画像に変換できる様子を見ることができた。
このほか、同社ブースでは2個のiCE 40 UPの間を行き交う信号を1本の信号線でやり取りすることを可能とする「シングルワイヤ・アグリゲーション」のデモ展示も行っている。これは、複数のI2C、UART、GPIO、I2SをTDM(Time Domain Multiplexing:時分割多重)方式で多重し、データの送受信を行うソリューションで、ブースでは、片方の基板側に設置されたマイクで集音し、もう片方の基板側につながったスピーカーで音を出す、といったデモを体験することができる。実際には音だけではなく、さまざまなデータを同時に伝送することが可能であるため、何が同時に伝送できるのか、といったことについては、同社ブースで確かめてみると良いだろう。