NXP Semiconductorsは、産業機器、IoT、車載分野に向けて、Arm Cortex-Mデュアルコアベースの最大1GHz駆動のマイコン「i.MX RT1170クロスオーバー・プロセッサ・ファミリ」を発表した。
同製品は、28nm FD-SOIを採用したCortex-M7コア(最大1GHz駆動)とCortex-M4(最大400MHz駆動)のデュアルコアマイコンで、Cortex-M7向けにECC付きで密結合メモリ(TCM)として構成可能な512KBを含む最大2MBのオンチップSRAMと、Cortex-M4向けにECC付きの256KBのTCMを統合しているほか、2Dベクター・グラフィックス・コアや同社のピクセル・プロセッシング・パイプライン(PxP)2Dグラフィック・アクセラレータ、独自の組み込みセキュリティ技術「EdgeLock 400A」などを搭載しており、同社では消費電力、性能、コストの最適化が図られたマイコンだと説明している。
また、オンチップ・メモリから実行しながらの割り込み応答時間が12ns、CoreMarkスコアが6468、DMIPSが2974と各種ベンチマークなどで高い性能を発揮できるほか、それぞれのコアごとに独立した動作電力ドメインを備えていることから、開発者は必要に応じてアプリケーションの並列動作や、個々のコアをオフにして消費電力を低減させるといった対応が可能となっている。
さらにエッジ・コンピューティング・アプリケーション向けに、Cortex-M7コアはマシンラーニング(ML)向け性能、音声向けエッジ推論、視覚/ジェスチャ認識、自然言語理解、データ分析、DSP機能などの強化が施されており、高密度オンチップ・メモリの組み合わせにより、競合のマイコン比で顔認識推論時間を最大5倍高速化することが可能なほか、1GHz駆動による認識能力向上のため、オーディオ・プリプロセッシング(エコーキャンセラ、ノイズ抑制、ビームフォーミング、割り込み)などのコンピュータ処理を要求する音声認識の実行においても高い効率を提供するという。
なお、同ファミリは同社のマイコン向け共通ツールキット「MCUXpresso」によりサポートされており、Arm Cortex-Mエコシステムとシームレスに動作することで、開発の手間、時間、コストの低減が可能としているほか、ユーザーはNXPの機械学習ソフトウェア開発環境「eIQ」を組み合わせて活用することで、同ファミリ向け機械学習アプリケーションの開発も可能になるとしている。