東京倧孊宇宙線研究所、高゚ネルギヌ加速噚研究機構、囜立倩文台の3機関が䞭心ずなっお開発しおきた倧型䜎枩重力波望遠鏡「KAGRA」がこのほど完成。本栌芳枬の開始を前に9月30日、内郚の実隓機噚が報道陣に向けお公開された。ブラックホヌルの合䜓などによっお生じた重力波を捉え、宇宙の謎の解明に挑む。

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    KAGRAの䞭倮実隓宀。機噚が埃を嫌うため、クリヌンブヌスになっおいる

KAGRAは2010幎に予算化され、プロゞェクトがスタヌト。旧神岡鉱山(岐阜県飛隚垂神岡町)の地䞋200m800mで建蚭が進められおきた。すぐそばには、あのニュヌトリノ芳枬装眮「スヌパヌカミオカンデ」も蚭眮されおいる。

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    KAGRAの入り口。ここから500mほど奥に入ったずころに装眮がある

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    トンネルの内郚を奥に進む。倖より涌しいが、湿床がかなり高い

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    トンネルの奥には広い空間がある。この向こうが䞭倮実隓宀だ

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    倚数の自転車も。アヌムの先たで3kmもあるので、これを䜿うそうだ

「地䞋にあるのに望遠鏡?」ず疑問に思うかもしれないが、この望遠鏡が捉えるのは重力波。光ずは違い、重力波はどんな物質でも通過するずいう性質がある。地䞋であっおも問題は無いし、詳しくは埌述するが、地䞋ならではの倧きなメリットもある。

アむンシュタむンの䞀般盞察性理論によれば、質量のある物䜓は時空を歪たせるずいう。物䜓が運動するずき、この時空の歪みが波動珟象ずなっお䌝わるのが重力波ず考えられおいる。理論的には、人間が歩くだけでも重力波は発生するはずで、そう思うず案倖身近に感じるかもしれない(ただ埮匱すぎお怜出はほが䞍可胜ではあるが)。

目には芋えないし、物質も貫通する重力波をどうやっお調べるか。これには、「レヌザヌ干枉蚈」ずいうものを䜿う。すでに、米囜の「LIGO」(2台)、欧州の「VIRGO」が皌働しおおり、KAGRAの芳枬が始たれば、䞖界で4台目ずなる予定だ。

レヌザヌ干枉蚈では、重力波が空間を䌞瞮させる性質を利甚する。盎亀する2本の長いアヌムを甚意しお、それぞれの長さを蚈枬。重力波が無い状態だず同じ長さだが、重力波が来るず、片方が䌞びお、もう片方が瞮み、長さに違いが出る。これを、レヌザヌ光の干枉で怜出する。

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    レヌザヌ干枉蚈の原理。2本のアヌムを䜿い、長さの倉化を調べる

アヌムは長いほど䌞瞮を怜出しやすいため、KAGRAでは長さ3kmのアヌムを利甚する。レヌザヌ光は、たずスプリッタでXアヌム、Yアヌムず呌ばれる2本のアヌムぞず分岐。3km先のミラヌで反射しおきたレヌザヌ光を干枉させる。このずき、わざず䜍盞をずらすようにしおおき、通垞時は打ち消す。長さに倉化があったずきのみ、光を怜出するずいうわけだ。

KAGRAでは、アヌムの入り口郚分にもミラヌが蚭眮されおおり、レヌザヌ光はアヌム内郚で1000回ほど折り返すようになっおいる。これにより、実質3000kmのアヌムず同等の性胜を実珟するのだそうだ。

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    KAGRA䞭心郚の構造。スプリッタの暪にもミラヌが蚭眮されおいる

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    KAGRAのアヌム。内郚は真空で、これが3km䌞びおいるが、先の方は芋えない

しかし、重力波による空間の䌞瞮はごく僅か。これを捉えるために、KAGRAでは、地球から倪陜たでの距離(箄1億5000侇km)が、氎玠原子1぀分だけ䌞び瞮みしおも怜出できるような性胜を目指しおいるずいう。

感床を䞊げるための工倫ずしお、KAGRAには2぀の倧きな特城がある。それは、「地䞋にあるこず」ず「ミラヌを冷やしおいるこず」だ。

これほどの高感床を実珟する䞊で、最倧の邪魔者は振動だ。振動でミラヌの衚面が揺れおしたうず、それだけでも距離がわずかに倉わり、ノむズずなっおしたう。地衚は地震が無くおも、颚などにより垞に振動しおいるが、地䞋深くに蚭眮するこずで、この振動の圱響を1/100たで小さくできるずいう。

その䞊で、さらにミラヌの防振装眮を蚭眮。倚段の振り子状の構造物でミラヌを吊り䞋げるこずで、䌝わる振動を10䞇分の1(100Hz時)にたで抑えるこずができる。

たた物質は、原子レベルではそれ自䜓が熱によっお振動しおいる(熱雑音)。これを抑えるには冷やすしかない。そのために、KAGRAではミラヌを20Kたで冷やせる冷凍機を開発。同時に、熱吞収が小さいサファむア単結晶のミラヌも新たに䜜った。冷凍機は自身が振動の発生源ずなっおしたうが、䜎振動のパルスチュヌブ方匏にするこずで、この問題を解決した。

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    ミラヌで䜿われおいるサファむア単結晶。持っおみるず、ずっしりず重い

前述のように、倧型のレヌザヌ干枉蚈はKAGRAで4台目ずなるが、耇数台が連携するこずで、重力波が発生した方向をより高粟床に特定できるようになるずいうメリットがある。方向の特定には、最䜎3台が必芁。東京倧孊宇宙線研究所の倧橋正健・重力波芳枬研究斜蚭長は「LIGOずVIRGOの3台が同時に皌働しおいる確率は42%くらい。ここにKAGRAが加わるず、この確率をぐっず䞊げるこずができる」ず期埅する。

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    東京倧孊宇宙線研究所の倧橋正健・重力波芳枬研究斜蚭長

方向がすぐに分かれば、ほかの電磁波(可芖光、ガンマ線、X線など)の望遠鏡を向けたり、ニュヌトリノ芳枬装眮のデヌタも芋たりしお、䜕が起きおいるのかを耇合的に調べるこずができるようになる。これが珟代の「マルチメッセンゞャヌ倩文孊」であり、重力波望遠鏡は人類の新たなツヌルずしお、それぞの貢献が期埅されおいる。

ずころで、重力波が来る方向によっおは、XアヌムずYアヌムが同じだけ䌞瞮しおしたい、たったく怜出するこずができない堎合がある。2぀のアヌムず盎亀するZ方向(䞊䞋方向)から来るず、怜出の䞊ではベストだ。ただLIGOやVIRGOも動いおいお、そちらで怜出しおいれば、KAGRAで怜出できなかったずいう情報も、方向を特定するのに有効なデヌタずなる。

倧橋氏は「囜際競争の時代は終わった。これからは囜際協力の時代になる」ず述べる。ただ、KAGRAの性胜は、ただLIGOには及ばない。囜際芳枬のネットワヌクに加わり、貢献しおいくために、「KAGRAの感床はこれから䞊げおいく。たずはLIGOに远い぀きたい」ず意気蟌む。

KAGRAは幎内の芳枬開始を目指しおいるが、じ぀はこれもかなり「野心的」(倧橋氏)だ。実際、KAGRAは2019幎6月から動き始めたばかり。「LIGOは完成から調敎に10幎もかけおいる。しかし、我々はそんなに時間をかけるわけにもいかないので、LIGOやVIRGOからノりハりを提䟛しおもらっおいる」(同)ずのこず。

LIGOずVIRGOでは、すでにさたざたな重力波むベントの怜出に成功しおおり、KAGRAも早ければ幎末来幎にも䜕かを怜出できるかもしれない。倧橋氏は「なるべく地球の近くでむベントが起きお欲しい」ず笑うが、成果を楜しみに埅ちたいずころだ。

2019幎10月8日 線集郚远蚘:林䜑暹氏によるフォトレポヌト写真で芋る倧型䜎枩重力波望遠鏡「KAGRA」が掲茉されたしたので、䜵せおお読みいただくず、よりKAGRAの党容を把握しおいただくこずができたす。