日立建機は9月24日、日立産業制御ソリューションズが提供するAI(人工知能)画像認識技術を使用して建設機械の製造現場において作業者の姿勢を自動判別するシステムを、2020年1月から同社の土浦工場における製造現場に導入すると発表した。

  • 赤文字でのアラート表示

    赤文字でのアラート表示

建設機械の製造現場では、部品などの持ち運びや積み降ろしといった、一定時間膝を曲げ腰を落として姿勢を低くした状態での作業が発生するが、作業に適した姿勢でない場合は作業者の身体に負担が掛かってしまうという。

製造現場の作業者がより安全で身体への負担の少ない作業環境を実現していくためには、作業者個々の行動を把握し管理すると共に、作業に適した姿勢や装備についての教育を行い、身体への負担や安全性を向上させる作業プロセスの改善が必要となっている。

これまでは、カメラで製造現場を撮影し映像を人の目で確認していましたが、多様な生産設備の中で多数の作業者の姿勢を確認する必要があり、膨大な時間がかかるため作業者の姿勢を把握することは困難だったという。

  • 自動判別の流れ

    自動判別の流れ

今回導入するシステムは、汎用の単眼カメラで撮影した製造現場の映像から、作業者の姿勢を自動判別できる。同システムは、日立産業制御のAI画像認識技術を使用して2種類のAIを組み合わせたもので、1つ目のAIの画像認識技術で映像から作業者の骨格情報を抽出し、多様な生産設備の中から人のみを自動検出する。

  • AIが自動で判別する前屈姿勢

    AIが自動で判別する前屈姿勢

  • そんきょ姿勢

    そんきょ姿勢

次に2つ目のAIの画像認識技術を用いて、検出した人の姿勢があらかじめ設定した作業に適さない姿勢に該当するかを自動で判別し、作業に適さない姿勢と判別した場合、画面上の当該作業者の部分に赤文字でアラートを表示する。2つ目のAIは、機械学習を重ねることで自動判別の精度を向上させていくという。

今後、建設機械の製造現場における安全衛生の教育を始めとした人財育成や、作業プロセスの改善を通じた効率の向上に、導入するシステムを広く活用していく予定としている。